スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
そうなんだ、そんなやり取りがあったとは思わなくて、ちゃんと荒木さんは納得の上で話しをしていたのに、意地張って負担なんてないって言って1人で部屋を出て、シェアハウスも先に出てきちゃったな。

「今回の入院は無意味じゃないっていつか分かる時が来るし、仁の気持ちも分かってくれると嬉しいかな」

水瀬編集長がニコッと微笑んで、野菜ジュースを飲み干す。

私って荒木さんの気持ち、分かってあげてなかったな…、視界が滲んで俯いた。

「大丈夫。仁も言い方は不器用だけど、宝条さんをスポーツ部に長くいて欲しいから言ったと思うよ」
「あいつも編集長になって長いが、まだ不器用なんだな」
「良いんじゃない?俺は仁との付き合いが長いけどメンバーの事を考え…今は泣いていいよ」
「すいません…」

高坂専務が言いかけたけど、私が俯きながら鼻を啜ると涙がぼたぼた落ち、そしてゆっくりとツナおにぎりを食べて、口を動かす。

「いっぱい食べて、元気な状態で仕事をすればいいよ」
「ふらふらしてたら書けねぇし、ちゃんと食えよ」
「分かってます!」

水瀬編集長は優しいのに、どうして姫川編集長はキツいんだろと、次は塩おむすびに手を伸ばして食べるけど、おむすびの味なのか涙の味なのかしょっぱさが凄くて、眉間の皺が深くなる。

「どんどん食べな。この後も俺とランチに行くし、とびっきりの美味しい店を選んでいるから楽しみにしてて」
「良いなぁ、高坂さんが選ぶ店ってハズレがないよね」
「今度お前の奢りで連れてけよ」
「良いよ〜。鉄板焼きのお店を見つけたから、仁も誘おうよ。マジで美味しいよ」

3人がわいわいと話しをしていて、荒木さん達って仲が良いんだな。

「高坂専務達って仲が良いんですね」
「まぁね、姫川達がいてくれたから俺も頑張れるし」
「褒めても何も出ねぇぞ」
「分かってるって。ほらスポーツ部の皆が来るし、行ってきな。また後で迎えに行くね」
「はい!」

私は高坂専務達に挨拶して、ゴミを手にして椅子を持ち、専務室から出ていった。

シェアハウスに帰ったら、荒木さんに謝ってもう一度話そう。

「で、社長のおっさんとご飯なんて食べたくないって嘘だろ」
「バレた?でも親父の話は退屈なのは本当だし、昨日仁から電話で『宝条さんと話したけど、納得してない。また話す』ってあってさ。宝条さん自身の事も俺も気にはなっていたのは本当で、今回はいい薬になったんじゃない?」
「俺は宝条さんを見て、まだ疲れがある表情をしていたし、本人は気づいてなさそうだったし、誰だって新人の頃はがむしゃらになるんじゃない?」
「倒れたら意味ねぇぞ。ま、荒木も部下との接し方も変わってきたな」
「そうだね。編集長を任せた時より宝条さんが来てからメンバーも荒木も少しづつ変わってきたな。いい方向に向かう様に、仁にはこれからもスポーツ部を引っ張って欲しいね」
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