スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
荒木さんはスプーンを洗って食器棚にしまい、冷蔵庫からアルコールの缶を取り出して、背を冷蔵庫に預けるように体を預け、プルを開けてごくりと飲むと口を離し、顔を私の方に向ける。

「原稿の清書、やってみてどう?」
「今まで読み手だったので、1つのテーマをここまで深く掘り下げているんだなと思いました。あと、原稿を読みながら入力をしていたんですが、途中佐藤さんが書いたインタビューの所が凄く読み応えがあって、そういえばその時にー…」

編集部での田所副編集長と姫川編集長のやり取りを話した。

「姫川がそんなことを言ったんだ」
「はい、そう言っていました。私も録音を聞いても良いですか?」

中畑さんが言っていたように、原稿だけじゃ荒木さんの凄さを実感しにくい。

「まだ駄目」
「え〜、どうしてですか?」
「…………現場にまだ出てないから」

荒木さんがかなりの間を開けて答えるんだけど、確かに現場に出てないし、でも荒木さんの編集者としてのノウハウを知れると思ったんだけどな。

「先に寝る」
「はい、お休みなさい」

荒木さんは冷蔵庫のドアを開けてアルコールの缶をしまい、キッチンから出ていき、私はフライパンに残っている焦げ目の多い固くなった炒り玉子を次々と口に運ぶ。

食べ終えてフライパンを洗い、明日のお弁当を作るためにもう一度フライパンをコンロに乗せ、冷蔵庫からカット野菜と玉子を取り出し、調理を始める。

野菜の焼き加減はこのくらいで塩、こしょうでしょ?玉子はもう一度炒り玉子を作って味付けは…、コンロ下の引き戸からケチャップを取り出してかけて、これからは玉子にケチャップをかけみようっと。

お弁当箱に詰めて冷蔵庫にしまい、使ったフライパンやシンク周りを洗って部屋に戻り、お風呂のセットを手に持って部屋を出て1階に降りてお風呂場に向かう。

この間100円ショップで買った『使用中』という札をドアの中央につけ、お風呂の準備を始め、お湯がはられるまでメイクを落とし、服も脱いで入浴を始めた。

「生き返る〜」

やっぱりお風呂に浸からないと疲れが和らがないし、リラックスが出来ないよね。

さっぱりした気分になり、着替えて部屋に戻り、ベットに横になりながらキッチンでの荒木さんを思い浮かべ、炒り玉子が焦げちゃった時は気持ちがへこんでしまったけど、荒木さんがケチャップをかけてくれたおかげで何とか味がもち直したし、苦手な虫を退治してくれたり、荒木さんって優しいなぁ。

何気なく使っていたケチャップの味がいつもと違う味に感じ、就寝した。
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