スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
九条さんに付き添われ会議室に行き、自分の荷物を持って会議室を出て、階段を降り、1階を歩く。

「付き添って頂いて、ありがとうございます」
「こう言う時は頼って良いですし、大きな怪我が無くて良かったです」

九条さんはにこりと微笑み、背中に手を添えてくれる。

「明日から1週間は休みだと、身体が訛りそうです」
「星野さんと一緒にお見舞いに行きますね」
「是非!お泊まり保育もしたいので、来てください!」
「良いですね。新しいルームウェアを買ったんで、お披露目したいです」

2人で藍山駅に向かいながら1週間のお休み期間で過ごすことを話し、駅のホームで九条さんと別れ、電車で揺られながらシェアハウスの最寄り駅に向かう。

駅についてとぼとぼと歩き、スーパーで夕食用の食材を選び、今日はお鍋に材料を入れて具沢山スープにしようと決め、コンソメの粉末と、後はホットミルクを飲みたいから牛乳を1本を買って、お会計したあとはシェアハウスに向けて歩き、到着すると玄関を開けて靴を脱ぎ、リビングを通ってバックを小さいソファに置いた。

スーパーで買った材料と、冷凍庫に入れてある凍ったご飯とカット野菜を取り出して、コンロ下の引き戸からお鍋を取り出し、夕食を作り始める。

何かしていないと落ち着かなくて、沸騰しているお鍋に材料をドサッと入れてコンソメの粉末を入れ、弱火にしてじぃっと見守っていると、バックからスマホの着信がなったので、仁さんかな?

火を消して小さいソファの所に行き、バックからスマホを取り出して画面を見たらお父さんだった。

「もしもし…」
『真琴!怪我は無いか?高坂専務から連絡が来たぞ』

電話口のお父さんは怒っているのが分かる。

「怪我はしていないよ」
『明日から1週間に家に来るのはいいが、四つ葉での仕事は考えないと駄目だぞ』
「え…、どうして?」
『自分が置かれた状況をみなさい。この間は倒れて入院、今度は閉じ込められたと聞いたら親としては四つ葉での勤務はして欲しくない。母さんも同じだ』
「………」

お父さんの真剣な声に何も言えなくて、スマホを握る力をギュッとする。

四つ葉での勤務を駄目って事は辞めることで、でもそれは仁さん達との別れもあって、折角本を作ることに好きになり始めたのに、嫌だ。

「辞めたく無い」
『駄目だ』
「嫌だ!本を作ることに好きになって来たんだから、絶対に四つ葉を辞めたく無い!」

すると後ろから白シャツの腕が伸びて来て、ふわっと抱きしめられ、あぁこの腕の感触と包まれる温かさはこの人しかいなくて、そっと振り返ると仁さんだった。

私はスマホを持ったまま仁さんの白シャツに顔を埋め、もう一度お父さんに向けて口を開く。

「明日、着替えと荷物を持って行くから…、そこでちゃんと話すよ」
『分かった。お父さんは仕事を休むから、お昼に来なさい』
「うん…、明日ね」

私は通話を終えてスマホを持ったまま仁さんに抱きつき、仁さんも腕の力を強くして体が密着する。

「明日、お父さん達の所に行きます」
「高坂さんが夕方に真琴の実家に行くって言うから、俺も行くと伝えた」
「辞めたくないです」
「真琴が辞めることじゃないし、辞めないで」
「はい…」

お互い腕の力を解くと仁さんが私の腕を掴み、一緒にリビングを出て階段を上がり、仁さんの部屋のドアの前に立ち止まる。

「会えない分、真琴に触れたい」
「はい、私も同じです」

仁さんが手の力をギュッと強くし、ドアを開けて中に入った。
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