スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
「橘は今日付けで四つ葉を去る。この件は俺と荒木で引き続き警察と対処するけど、スポーツ部の皆も巻き込んで悪かった。でも皆のおかげで宝条さんが助かった、ありがとね」
高坂専務はニコッと微笑み、会議室の空気を変えようとしていて、私も先輩達に向き合う。
「助けて頂いて、本当にありがとうございました。1週間は自宅待機ですが、戻ったらいっぱい原稿に触れます!」
橘さんの事を引きずっていては駄目で、私は私の出来る事を精一杯やらなきゃ。
この後はお父さん達がいる実家に行って、四つ葉に居続けられるように説得しないと、ボストンバックを持った。
「待っているよ」
「まだ7月号の準備があるから、戻って来たら清書を頼むよ」
「はい!」
佐藤さんと田所副編集長の言葉に返事をして、高坂専務と仁さんと一緒に会議室を出る。
「夕方にご実家に行くから、今はご両親と過ごしてね」
「駅まで見送って来る」
「任せたよ。あ、そうだ、宝条さん」
「どうしました?」
「荒木にさ…」
仁さんが私を駅まで見送るって言ったら、高坂専務が私を手招きして来たので近寄ると、高坂専務は屈んで私の右耳にある言葉を仁さんに聞こえないように言った。
「本当に言うんですか?」
「言ってみても良いんじゃない?面白い反応をすると思うよ」
高坂専務はすっごくにこにこしていて、言っていいのやら。
「ご両親が待っているし、行くよ」
「待って下さい!」
仁さんが先に歩き出したから私は高坂専務に会釈して、慌てて追いつく。
2人で階段を降りて1階について、四つ葉を出て藍山駅に向かうと、仁さんが私の手からボストンバックを取って、空いている右手を大きな左手で握るけど、もしかしたら知っている人に遭遇するかもしれない。
「誰かに見られます…」
「だったら、こっちの道に行く」
仁さんに手を引かれながら歩くと、以前三輪さんと一緒に歩いた線路沿いの道に辿り着く。
「一駅分、真琴と“こう”したい」
手を握る力が強くなり、前は三輪さんがバイクを押していただけで1人でとぼとぼと歩いていたけど、昼間の線路沿いも電車はどんどん私達の側を通過していく。
「お父さん達にちゃんと四つ葉にいれるよう、話します」
「ご両親の気持ちも分かるし、俺は辞めるのは真琴じゃなくて、閉じ込めた橘さんと伝える」
「橘さんはたった1人の同期だったので、もっと話したりランチに行けばまた違ったんですかね」
「どうだろう。今はもう知る術はないが、ああいう事をする人に好かれていたなんて嫌だと思ったし、水野が橘さんに手を挙げたのは予想外」
「あのバチンという音って水野先輩が橘さんを?」
「そう。真琴は水野の背中で見えていなかったけど、水野が左手でぶったのを高坂さんと俺はしっかり見た」
そうだったんだ…、あの時の水野先輩はどんな気持ちで橘さんをぶったんだろうと気にはなるけど、こういうのは余計だし、触れないでおいておこう。
「本当は俺が橘さんをぶとうと思ったけど」
「ええ?流石にそれは…」
「俺の大切な人に怖い思いをさせたんだから、ぶちたいのは当たり前」
“大切な人”…初めて言われたので照れる。
もう少しで駅に着きそうで、この手を離したら暫く仁さんとはあのシェアハウスで過ごせないんだと思うと寂しくて、歩く歩幅が狭くなった。
「仁さん」
「どうした?」
「夕方、待っています」
「ああ、待っていて。それとさっき、高坂さんに何を言えって言われた?」
ここでそれを聞くんだ…、でも高坂専務は言ってみればって言っていたし、言ってみようと仁さんに顔を向ける。
「言いますね」
「ああ」
「実家に帰らせて頂きます!!」
それと同時に電車が通過し、あれ?聞こえたかな?と仁さんの反応を見るけど、前髪があって分かりづらい。
「あ、あの?聞こえました?」
「…………真琴さぁ」
「は、はい…」
仁さんが手を離して私の顎を持ってクイッと上に上げ、顔を私の右耳に寄せる。
「1週間後、たっぷりと真琴を味わうから、実家でいっぱい美味しい物を食べておいて」
「ひゃあ」
仁さんが私の右耳の耳朶を甘噛みして顔を離し、フッと笑う。
「また夕方に」
「はい」
そう言うと仁さんは私にボストンバックを渡し、最後は頭の上に手をポンと置いて髪の毛をクシャッとして手を離し、私は駅の改札口へ入っていった。
高坂専務はニコッと微笑み、会議室の空気を変えようとしていて、私も先輩達に向き合う。
「助けて頂いて、本当にありがとうございました。1週間は自宅待機ですが、戻ったらいっぱい原稿に触れます!」
橘さんの事を引きずっていては駄目で、私は私の出来る事を精一杯やらなきゃ。
この後はお父さん達がいる実家に行って、四つ葉に居続けられるように説得しないと、ボストンバックを持った。
「待っているよ」
「まだ7月号の準備があるから、戻って来たら清書を頼むよ」
「はい!」
佐藤さんと田所副編集長の言葉に返事をして、高坂専務と仁さんと一緒に会議室を出る。
「夕方にご実家に行くから、今はご両親と過ごしてね」
「駅まで見送って来る」
「任せたよ。あ、そうだ、宝条さん」
「どうしました?」
「荒木にさ…」
仁さんが私を駅まで見送るって言ったら、高坂専務が私を手招きして来たので近寄ると、高坂専務は屈んで私の右耳にある言葉を仁さんに聞こえないように言った。
「本当に言うんですか?」
「言ってみても良いんじゃない?面白い反応をすると思うよ」
高坂専務はすっごくにこにこしていて、言っていいのやら。
「ご両親が待っているし、行くよ」
「待って下さい!」
仁さんが先に歩き出したから私は高坂専務に会釈して、慌てて追いつく。
2人で階段を降りて1階について、四つ葉を出て藍山駅に向かうと、仁さんが私の手からボストンバックを取って、空いている右手を大きな左手で握るけど、もしかしたら知っている人に遭遇するかもしれない。
「誰かに見られます…」
「だったら、こっちの道に行く」
仁さんに手を引かれながら歩くと、以前三輪さんと一緒に歩いた線路沿いの道に辿り着く。
「一駅分、真琴と“こう”したい」
手を握る力が強くなり、前は三輪さんがバイクを押していただけで1人でとぼとぼと歩いていたけど、昼間の線路沿いも電車はどんどん私達の側を通過していく。
「お父さん達にちゃんと四つ葉にいれるよう、話します」
「ご両親の気持ちも分かるし、俺は辞めるのは真琴じゃなくて、閉じ込めた橘さんと伝える」
「橘さんはたった1人の同期だったので、もっと話したりランチに行けばまた違ったんですかね」
「どうだろう。今はもう知る術はないが、ああいう事をする人に好かれていたなんて嫌だと思ったし、水野が橘さんに手を挙げたのは予想外」
「あのバチンという音って水野先輩が橘さんを?」
「そう。真琴は水野の背中で見えていなかったけど、水野が左手でぶったのを高坂さんと俺はしっかり見た」
そうだったんだ…、あの時の水野先輩はどんな気持ちで橘さんをぶったんだろうと気にはなるけど、こういうのは余計だし、触れないでおいておこう。
「本当は俺が橘さんをぶとうと思ったけど」
「ええ?流石にそれは…」
「俺の大切な人に怖い思いをさせたんだから、ぶちたいのは当たり前」
“大切な人”…初めて言われたので照れる。
もう少しで駅に着きそうで、この手を離したら暫く仁さんとはあのシェアハウスで過ごせないんだと思うと寂しくて、歩く歩幅が狭くなった。
「仁さん」
「どうした?」
「夕方、待っています」
「ああ、待っていて。それとさっき、高坂さんに何を言えって言われた?」
ここでそれを聞くんだ…、でも高坂専務は言ってみればって言っていたし、言ってみようと仁さんに顔を向ける。
「言いますね」
「ああ」
「実家に帰らせて頂きます!!」
それと同時に電車が通過し、あれ?聞こえたかな?と仁さんの反応を見るけど、前髪があって分かりづらい。
「あ、あの?聞こえました?」
「…………真琴さぁ」
「は、はい…」
仁さんが手を離して私の顎を持ってクイッと上に上げ、顔を私の右耳に寄せる。
「1週間後、たっぷりと真琴を味わうから、実家でいっぱい美味しい物を食べておいて」
「ひゃあ」
仁さんが私の右耳の耳朶を甘噛みして顔を離し、フッと笑う。
「また夕方に」
「はい」
そう言うと仁さんは私にボストンバックを渡し、最後は頭の上に手をポンと置いて髪の毛をクシャッとして手を離し、私は駅の改札口へ入っていった。