スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
俺はバックにノートやシェアハウスに帰ったらリビングで仕事をしようと、資料の紙束を纏め始めた。

「これから高坂さんと一緒に宝条さんの実家に行ってくるから、電話は控えてメッセージでお願い」
「あの、荒木編集長」

皆にこれから席を外すことを伝えると、中畑が俺に声をかけた。

「どうした?」
「宝条さんは製作…、スポーツ部に必要なメンバーなので、本人にもご家族の方にもそのことを伝えて下さい!まだ本を作ること、教えきれてないので」
「俺も一緒に写真を選ぶ時、彼女の選ぶ目が良いなって。7月号も一緒に選びたいです」
「私も彼女が来てお姉さん気分になれますし、1週間後にスポーツ部でお昼ご飯を一緒に食べようって皆で相談してるんです」

製作の中畑、山田、篠田が真琴とのことをこんなにも思っているんだと初めて知った。

「さっきメッセージをくれた水野も秋山も『宝条さんがいないと先輩風がふかせない。今度はサッカーの試合を見せてあげたい』ですって」
「石毛なんて『ラクビーの原稿を目をキラキラさせながら読んでいるのが嬉しかった』って言ってたよな?」
「ええ。ラクビーってかなりマイナーですけど、山田さんと一緒にラクビーの写真を選んでいるときもあんなに目を輝かせているのって、嬉しいです」

田所も佐藤もそれぞれが真琴に対してスポーツ部の皆が思っていることを教えてくれて、俺は手をギュッと握る。

「電話は控えてって言ったけど、この後、宝条さんの実家に着いたら田所に電話をかけるから、そこで皆の気持ちをご両親に伝えて」
「任せて下さい!待っています」

皆がガッツポーズをして、俺は会議室を後にし、廊下を歩きながら真琴がこんなにも皆に親しまれているのが嬉しくて、是が非でもご両親に真琴の必要性を伝えなきゃな。

専務室のドアをノックして入ると、高坂さんと祐一さんがいて、祐一さんは俺の所に来る。

「留守の間、姪の里香がご迷惑をおかけしてご免」
「本当に迷惑だった」

俺はぷいっと顔を横に向ける。

「相変わらず仁君は厳しいね」
「これからも祐一さんが高坂さんの秘書をして」
「勿論だよ。たっぷり休んだから、働かなきゃ」
「んじゃ、早速宝条さんのご実家まで送って貰おうかな。祐一の運転、心地よくて爆睡が出来るんだよね」
「勝手に寝てればと言いたいけど、今日は寝ないで欲しい」
「冗談が通じない男だなぁ。ま、行こうか」

3人で専務室を出て階段を降り、四つ葉を出て歩いて10分程の時間制の駐車場に来て、祐一さんの運転で真琴の実家に向かい始めた。

「田所達がご両親に宝条さんの必要性を伝えたいから、テレビ電話の時間を交渉する」
「良いんじゃない?電話より伝わりやすいよ」
「俺は近隣の駐車場で待っている」
「大人数で押しかけてもな。ご両親が会ってもいいと言う迄は時間がかかるのは覚悟して」
「ああ、そこは覚悟している。あ、あの家だな」

祐一さんが運転する車が減速して、一軒の建物の前に静かに停車し、高坂さんと俺は車から降りて建物を見上げる。

真琴は今頃ご両親とどんな風にして待っているのだろうか…、昼に水瀬が言っていたように実家というか秘密の交際をしている相手のご両親に会うのって、今回は仕事だけど緊張が出てきた。

「じゃあ、鳴らすね」

高坂さんは真琴の実家のインターホンを押し、明るい音が鳴り、玄関のドアがガチャっと開いた。
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