スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

真琴の実家に向かう為に、俺はシェアハウスを出て、高坂さんの家の最寄り駅まで電車で移動した。

電車内で今日の見学のスケジュールを頭の中で振り返り、2時間をどう有意義に使おうか考えるだけでも楽しいし、7月号は部数会議でかなりの数字を取れたから、絶対に成果を出したい。

明後日には6月号が書店に並ぶし、亮二が撮影した表紙も良かったし、掲載順もこだわったから7月号への起爆剤になったらと思うし、鷲尾さんも、真琴のお父さん達も発売を楽しみにしていたな。

電車が高坂さんの家の最寄り駅に到着し、俺は改札を出てロータリーの所で車が来るのを待っていると、黒パンツの後ろポケットにしまっていたスマホが揺れたので取り出し、画面をタップするとメッセージを受信をしていたので開いた。

『バイクで行くから、家を出る』と亮二からのメッセージで、続けて秋山からも『家を出ました。現地で』と受信した。

俺はそれぞれに『分かった』と返信をして、スマホを後ろポケットにしまい、高坂さん達が来るのをひたすら待つ。

空を見上げれば快晴で、気温も段々と暑くなってきていて、今年は真琴とどんな夏を過ごしてみようか。

スポーツも国際大会やイベントも多いし、野外の野球観戦は昼間は暑いから夜の試合を選んで真琴のご両親も誘ってみようか…、その時はやっぱ事前に挨拶が必要だな。

『挨拶に行く時は、ちゃんとしたスーツを仕立てないと』

祐一さんの言う通り白シャツじゃ駄目だよなと思い、スーツを仕立てるなんてしたことがないし、ここは祐一さんに紹介してもらおう。

今は上司としてご両親に会っているが、秘密の恋をしているのと同居をしているから、順番をすっ飛ばしているし、言葉選びが難しい。

原稿を書く時はすらすらと書けるのに、こう言う場合の言葉って何が正解なんだろうと悶々としながら考えていたら、祐一さんが運転する車がロータリーに入ってきて、俺の前に停まった。

助手席の窓ガラスが下がって高坂さんがひょこっと顔を出し、ニコッと微笑んでいる。

「おはよ」
「はよう。車を出してくれてありがとう」
「祐一の運転は安心して色々話せるし、帰りは美味いのを食べに行こうよ」
「遠足じゃないし、食堂で済ます」
「ちぇ〜つまんないの」
「ほら宝条さんを迎えに行くから、仁君も後ろに乗って」
「ああ」

高坂さんは相変わらずだし、俺は後部座席のドアを開けて乗り込み、真琴を迎えに行くために祐一さんが車を走らせる。

真琴と合流して、車内では自宅待機中の事をあれこれ話しをし、真琴が俺が出した宿題について有意義に出来たことやインタビューの原稿を読めたことを高坂さんに熱弁をしていた。

俺は嬉しくて右手で真琴の左手をギュッと強く握って、口元が緩むのを隠す為に顔を左側に向け、見学の施設に着くまで真琴の手を握りながら外を眺めていた。
< 359 / 371 >

この作品をシェア

pagetop