スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
練習施設に到着し、そっと右手を離して自分のバックを持って後部座席のドアを開けて降り、高坂さんも助手席から降り、真琴も続いて降りると練習施設を見上げている。

「俺は駐車場で待機しているから、また」
「オッケ~、終わる目安になったら電話するし、近くのコンビニで飲み物を買って休んでて」
「そうする」

祐一さんは車を走らせて駐車場に向かい、俺達は井上監督に挨拶をする為に中に入って受付を済ませていると、秋山が施設の中に入って来た。

「おはようございます」
「秋山先輩!おはようございます!」
「久しぶりだね。自宅待機中は遊んだ?」

秋山は高坂さんよりか…と思って高坂さんの方に顔を向けると、本人はハハッと笑っていた。

「ほら、荒木と宝条さんが真面目なんだって」
「もし秋山が自宅待機になったら、宿題は多めに出しておく」
「ええ?俺は遊んだ?って聞いただけなのに」

秋山は納得がいっていない表情でいると、亮二も施設の中に入ってきた。

「うっす」
「来てくれてありがとう」
「おい、ひよっこ」
「何ですか?」
「仁にさ…」

亮二は真琴の右耳に顔を寄せて何かを伝えて顔を離すと、真琴は怪訝な顔をして亮二を見上げる。

「それは一生無いですし、高坂専務!三輪さんがセクハラしてきます!」
「マジで?今どきのセクハラとパワハラって世の中厳しいから、フリーの三輪っちの方が分が悪いよ」
「訴えれば?俺はそんなんじゃ凹まねぇ」

亮二はニヤっと俺の方に笑い、受付を済ませてすたすたと先に歩いていった。

「ま、三輪っちは仕事はこなすし、今日は俺もいるし変な事はしてこないでしょ。秋山も、カメラを楽しみにしているから、後で“自分の目”のアングルを見せてよ」
「勿論です。パーツのメンテナンスもバッチリなんで、先に行って色々なアングルを探してきます」

秋山と高坂さんは先に行き、俺は真琴の方に顔を向ける。

「亮二に何て言われた?」
「言うんですか?」
「気になる」
「分かりました…、耳を貸してください」

俺は屈んでみると、真琴が俺の右耳に手を添える。

「言いますね。『仁にさ…愛想尽きたら、実家じゃなくて俺の部屋に来れば?ベットは狭いけど、ひよっこなら余裕で2人で寝れる』って……」

亮二の奴…俺は右手をギュッと握り、溜め息を吐く。

「見学の時間が迫っているから行くよ」
「は、はい…」

俺が先に歩くと真琴も慌てて追いかけてきて、隣に並ぶ。

「後で高坂さんにセクハラだって報告するし、真琴も亮二の事は相手にしなくていい」
「三輪さんにも言いましたが一生部屋には行かないですし、早く仁さんの部屋で過ごしたいです。熱帯魚にも餌をあげたいです」

ここがシェアハウスだったら、確実に部屋に連れて行くけど…。

「自宅待機が終わったらさ、駅で待ち合わせをして…“一緒に帰ろう”?」
「はい…、約束ですよ?」
「ああ、約束」

見学するプールサイドに入るためのドア前で立ち止まって、真琴のおでこに一緒に帰る為の約束のキスをして中に入っていった。
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