スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
仁さんに一緒に帰る約束のキスをされ、顔がかぁっと真っ赤になったので、必死に両手で扇ぐ。

「すぐ赤くなる」
「じ…荒木編集長のせいですってば!」

危ない、下の名前で言いそうになり上司と部下モードにしないといけないし、ここ外だし!いきなりキスだなんて、も〜と思って、プールサイドは靴で入るわけには行かないから裸足になり、下のパンツの裾も3回くらい捲って濡れない様にし、早歩きでプールサイドを歩いて、Tシャツとハーフパンツに着替えていた高坂専務の元に行く。

「高坂専務!今度は荒木編集長がセクハラしてきました!!」
「そうなの?半年間の減給処分にしとく?法律に触れない程度に下げられるよ」
「欲しいものがあるから、減給はやめて」
「三輪っちといい、荒木といい、いい大人なんだから年下の部下に手を出すとかは無いと思うけど、セクハラはマジで気をつけてね」

そうだ、周りには上司と部下でしかうつってないから、手を出されまくってるなんて言えないし、本当は秘密でお付き合いをしているのも気づかれないようにしなきゃ。

「あら?荒木君達、来てくれてありがとう」
「こんにちは。今日は見学の時間を取っていただいて、ありがとうございます」
「良いのよー。あの子たちも荒木君が来るってだけで、昨日から気合が入ってたわ」
「は、はあ…」

この女性って確か井上監督という、シンクロの監督を長年務めている人で、仁さんは井上監督の言葉にどう返事をするか戸惑っている。

「初めまして、スポーツ部に今年から入りました宝条真琴です」
「まぁ可愛い子ね〜、是非あの子達の演技をしっかり見届けてね」
「はい、宜しくお願いします!」

井上監督に挨拶と名刺を渡し、高坂専務と私と仁さんはプールサイドにある長いベンチに座らせてもらい、秋山先輩はいつの間にか着替えたのか、ハーフパンツの水着に上半身は裸でいてカメラの準備をしていて、三輪さんは飛び込み台の3つ目の内、上から2つ目の所にいた。

「お〜三輪っちは飛び込み台から攻めるんだ」
「落ちたら痛そう…」
「一度痛い目にあっても良いと思う」
「私も痛い目にあって欲しいです」
「2人して三輪っちに恨みでもあるの?」
「はい」
「いっぱい恨みがある」

高坂専務の質問に2人で即答で答えるけど、仁さんって一体幾つ恨みを持っているんだろう…と思いながら三輪さんの様子を見る。

三輪さんは漆黒の一眼カメラ手に取ると飛び込み台から飛び降りるギリギリの位置でうつ伏せになって、体を少し乗り出しているのが見え、あんなに乗り出したら危ないんじゃ…、さっき痛い目に合えばって思ったけど、こんな体勢に怖くないのかな?

「あれが亮二の撮り方で、前回の季刊の時は写真の出来栄えに読者からの声が多くて嫉妬した」
「三輪っちは期待以上の写真を撮ってくれるから、荒木が口説いてくれて良かったよ」
「時間はかかったけど、亮二の“自分の目”はこれからも絶対に必要だから“休刊”になって欲しくない」

仁さんと高坂専務が三輪さんのカメラに相当な信頼を得ているのが会話で分かり、もう一度三輪さんの方へ顔を見上げると、三輪さんはカメラから顔を離して私と視線が合うとフッと笑い、またカメラに顔をつけたので、急に笑うからドキッとしてしまった…。

どうしよう、私の隣に座る仁さんは三輪さんと私が視線に合ったのを気づいてないかな?気づいてないなら良いけど、ドキッとした自分が嫌になる。

秋山先輩が私達の所に来て、仁さんの前に立った。

「水中の撮影の許可をお願いします。希望は1曲目の冒頭の入水と、中盤のジャンプです」
「分かった。井上監督に伝えるから、十分に気をつけて潜って」
「ええ、任せて下さい。終わったらフィードバックをお願いします。宝条さんも後で見せるけど、楽しみにしてて」
「はい」

仁さんはベンチから立ち上がって井上監督の元に行き、また戻ってきた。

「撮影しても良いって。井上監督も見たいってさ」
「分かりました。すぐ準備します」

秋山先輩はプールに入り、顔だけ出して選手達の準備を見届ける。

「宝条さんも選手達の演技もだけど、秋山や三輪っちの撮り方を学びな。2時間はあっという間に過ぎるから、どんどん吸収して」
「はい!」

高坂専務の助言に返事をして、音楽が鳴り始めると秋山先輩は息を吸って水中に潜って演技が始まった。
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