スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
圧巻の演技に上手く言葉が出なくて、メモを取ることすら出来なかった。
「メモ…取れなかったです」
「あの演技を観ちゃうとね。取れなかった分をどうカバーするかは宝条さん次第だよ。そうだ、インタビューの原稿を書いたんでしょ?」
高坂専務がにこぉと微笑み、右手を差し出すので、仁さんが『全部✕で戻ってきた』という言葉がよぎり、バックから原稿を取り出してそっと高坂専務に渡すと、高坂専務はじぃっと原稿を読む。
「映像で見たのを真似しても駄目だよ。宝条さんが聞きたい言葉じゃないし、今の演技で感じたことを反映させないと。実際のインタビュー前で良かったね。井上監督はこの質問は全部答えてくれないよ」
高坂専務から厳しめに言われ答えは全部✕という意味がわかり、はいっと渡された原稿を受け取り、少しだけ自信があったのにとクシャっと握った。
「その悔しさ、忘れないで。荒木も田所もこれを乗り越えて今の地位までいったし、メソメソしている場合じゃないよ。秋山の様子をみてご覧」
高坂専務から言われ、秋山先輩の方へ顔を向けると、秋山先輩は客席に移動していて一眼カメラに顔をつけて離してたり、また客席を移動してカメラを構えたり、レンズを付け替えたりしていた。
「去年の季刊の時、秋山の撮影の結果は五分五分でさ。客席からのアングルも三輪っちに劣っていて、相当凹んでたんだよね。でも秋山はめげずにコツコツと撮影の練習をしてようやく安定してきたし、今回は荒木とよく話し合って撮影に挑んでいるから、腕はかなり伸びるんじゃないかな」
高坂専務は嬉しそうに秋山先輩の様子を見ていて、私って全部✕で凹んでいただけで情けないな。
「休憩時間を使って、もう一度書いてみます」
「良いね、どんどん書いてご覧。いつでも確認するし、荒木より採点は甘くないけど」
「今のやり取りでそう思いました」
「当たり前だよ。これでも“Scoperta”を創ったんだから、厳しくするよ」
「今度、高坂専務が“Scoperta”を創ったきっかけを聞きたいです」
「喜んで。時間をたっぷり使うから、覚悟してね。荒木を面接をした時の話も聞きたい?」
「聞きたいです!」
高坂専務と色々話をしていると仁さんがこっちにきて、あれ?機嫌が悪いような?
「2人で盛り上がりすぎ」
「普通にインタビューの原稿を見ていただけだし、今度創刊のきっかけを話そうかなって」
「それなら良いんだけど。井上監督も秋山の写真を見て、満足してた」
「良いね。三輪っちの写真も見てみようか」
「呼んで来る」
仁さんは飛び込み台の方に向かい、私はベンチに座ってインタビューの原稿を訂正したくて、バックからペンとノートを取り出して、一番始めの質問に赤い横線を引いて、また一から考える。
「お〜三輪っち。飛び込み台からの写真を見せてよ」
「入水した所は使えねぇから、円形の陣形とジャンプは見せてもいい」
「どれどれ…、うぉ、流石だね。宝条さんも見てご覧よ」
高坂専務に声をかけられ顔を上げると、三輪さんは私に漆黒の一眼カメラを差し出したので受け取り、液晶画面を確認すると、秋山先輩とは全く違うアングルで、飛び込み台からの景色はこうなんだと思えるくらい素晴らしい写真だ。
特にジャンプなんて、秋山先輩は横からに対し、三輪さんは真上と言っていいほどのアングルで、バク宙をする選手の体の反り方、土台の選手達がバク宙をする選手に向けて顔を見上げていて、チーム一丸となって演技をしているのが分かる。
「これが俺の“自分の目”だ」
「………凄いとしか言葉が思いつかないです」
「あぁ?凄いのは当たり前だろうが」
「褒めてるのに…、もう言いませんってば!」
私はムスッとして三輪さんに漆黒の一眼カメラを渡そうと、両手でカメラを持って差し出したら、三輪さんとその隣にいる高坂専務の2人が私の背後を見て、「あっ」と言う表情をし、どうしたんだろうと振り返ろうと顔を後ろに向ける。
「ひよっこ、見るな!!」
「うわっ?!」
グイッと三輪さんに抱き寄せられ、え??
バッシャーン!!!
何?この大きな音?何が起こってるの?
「警備員を呼んでちょうだい!貴女達はキャプテンと一緒に控室に行って!」
「誰か救急車を!!」
「警察も呼んで!!」
プール内が騒然とし、私の背後ではバタバタと足音が沢山聞こえるけど、一体何が?!と言うか、三輪さんの腕の中にすっぽりと収まっていて、嫌…、嫌だ!
「は、離して下さい!」
「無理だな。見たらお前は確実に意識が飛ぶ」
「俺も離してってとか色々と言いたいけど、ここは三輪っちに任す。先ずは井上監督の所に行くから、秋山のケアも頼むね」
「2人分はしんどいが、さっさといけ」
「ああ、行ってくる」
走り去る音が聞こえ、そういえば仁さんが戻ってきてないし、も…もしかしてー…
「あ、あの…もしかして」
「見るなって言っているけど」
「でも…」
「荒木君!しっかりしなさい!!」
井上監督が必死に呼びかけている声がして、三輪さんの腕の力が増す。
「道が混雑しているようで、救急車の到着まで僕が人工呼吸をします!!」
「任せたわ!高坂専務も荒木君のご家族に連絡をお願いね!」
「分かりました…」
あ…、振り返ろうとしなくても、状況的に分かってしまい、視界が滲む。
「三輪っち、悪いけど荒木の家族に連絡するから、俺が戻って来るまで帰らないで」
「別に構わないし、あいつの状態はどうなの?」
「結構水を飲んでいるし、警備の人が必死に人工呼吸をしている…、宝条さんの事を頼むね」
「ああ、さっさといけ」
また走り去る音が聞こえ、どうしよう、頬に大粒の涙が伝って三輪さんのシャツをどんどん濡らす。
「泣け。今はとにかく泣いていい」
「は…い…」
私は救急車が来るまで、三輪さんの腕の中で泣き続けた。
「メモ…取れなかったです」
「あの演技を観ちゃうとね。取れなかった分をどうカバーするかは宝条さん次第だよ。そうだ、インタビューの原稿を書いたんでしょ?」
高坂専務がにこぉと微笑み、右手を差し出すので、仁さんが『全部✕で戻ってきた』という言葉がよぎり、バックから原稿を取り出してそっと高坂専務に渡すと、高坂専務はじぃっと原稿を読む。
「映像で見たのを真似しても駄目だよ。宝条さんが聞きたい言葉じゃないし、今の演技で感じたことを反映させないと。実際のインタビュー前で良かったね。井上監督はこの質問は全部答えてくれないよ」
高坂専務から厳しめに言われ答えは全部✕という意味がわかり、はいっと渡された原稿を受け取り、少しだけ自信があったのにとクシャっと握った。
「その悔しさ、忘れないで。荒木も田所もこれを乗り越えて今の地位までいったし、メソメソしている場合じゃないよ。秋山の様子をみてご覧」
高坂専務から言われ、秋山先輩の方へ顔を向けると、秋山先輩は客席に移動していて一眼カメラに顔をつけて離してたり、また客席を移動してカメラを構えたり、レンズを付け替えたりしていた。
「去年の季刊の時、秋山の撮影の結果は五分五分でさ。客席からのアングルも三輪っちに劣っていて、相当凹んでたんだよね。でも秋山はめげずにコツコツと撮影の練習をしてようやく安定してきたし、今回は荒木とよく話し合って撮影に挑んでいるから、腕はかなり伸びるんじゃないかな」
高坂専務は嬉しそうに秋山先輩の様子を見ていて、私って全部✕で凹んでいただけで情けないな。
「休憩時間を使って、もう一度書いてみます」
「良いね、どんどん書いてご覧。いつでも確認するし、荒木より採点は甘くないけど」
「今のやり取りでそう思いました」
「当たり前だよ。これでも“Scoperta”を創ったんだから、厳しくするよ」
「今度、高坂専務が“Scoperta”を創ったきっかけを聞きたいです」
「喜んで。時間をたっぷり使うから、覚悟してね。荒木を面接をした時の話も聞きたい?」
「聞きたいです!」
高坂専務と色々話をしていると仁さんがこっちにきて、あれ?機嫌が悪いような?
「2人で盛り上がりすぎ」
「普通にインタビューの原稿を見ていただけだし、今度創刊のきっかけを話そうかなって」
「それなら良いんだけど。井上監督も秋山の写真を見て、満足してた」
「良いね。三輪っちの写真も見てみようか」
「呼んで来る」
仁さんは飛び込み台の方に向かい、私はベンチに座ってインタビューの原稿を訂正したくて、バックからペンとノートを取り出して、一番始めの質問に赤い横線を引いて、また一から考える。
「お〜三輪っち。飛び込み台からの写真を見せてよ」
「入水した所は使えねぇから、円形の陣形とジャンプは見せてもいい」
「どれどれ…、うぉ、流石だね。宝条さんも見てご覧よ」
高坂専務に声をかけられ顔を上げると、三輪さんは私に漆黒の一眼カメラを差し出したので受け取り、液晶画面を確認すると、秋山先輩とは全く違うアングルで、飛び込み台からの景色はこうなんだと思えるくらい素晴らしい写真だ。
特にジャンプなんて、秋山先輩は横からに対し、三輪さんは真上と言っていいほどのアングルで、バク宙をする選手の体の反り方、土台の選手達がバク宙をする選手に向けて顔を見上げていて、チーム一丸となって演技をしているのが分かる。
「これが俺の“自分の目”だ」
「………凄いとしか言葉が思いつかないです」
「あぁ?凄いのは当たり前だろうが」
「褒めてるのに…、もう言いませんってば!」
私はムスッとして三輪さんに漆黒の一眼カメラを渡そうと、両手でカメラを持って差し出したら、三輪さんとその隣にいる高坂専務の2人が私の背後を見て、「あっ」と言う表情をし、どうしたんだろうと振り返ろうと顔を後ろに向ける。
「ひよっこ、見るな!!」
「うわっ?!」
グイッと三輪さんに抱き寄せられ、え??
バッシャーン!!!
何?この大きな音?何が起こってるの?
「警備員を呼んでちょうだい!貴女達はキャプテンと一緒に控室に行って!」
「誰か救急車を!!」
「警察も呼んで!!」
プール内が騒然とし、私の背後ではバタバタと足音が沢山聞こえるけど、一体何が?!と言うか、三輪さんの腕の中にすっぽりと収まっていて、嫌…、嫌だ!
「は、離して下さい!」
「無理だな。見たらお前は確実に意識が飛ぶ」
「俺も離してってとか色々と言いたいけど、ここは三輪っちに任す。先ずは井上監督の所に行くから、秋山のケアも頼むね」
「2人分はしんどいが、さっさといけ」
「ああ、行ってくる」
走り去る音が聞こえ、そういえば仁さんが戻ってきてないし、も…もしかしてー…
「あ、あの…もしかして」
「見るなって言っているけど」
「でも…」
「荒木君!しっかりしなさい!!」
井上監督が必死に呼びかけている声がして、三輪さんの腕の力が増す。
「道が混雑しているようで、救急車の到着まで僕が人工呼吸をします!!」
「任せたわ!高坂専務も荒木君のご家族に連絡をお願いね!」
「分かりました…」
あ…、振り返ろうとしなくても、状況的に分かってしまい、視界が滲む。
「三輪っち、悪いけど荒木の家族に連絡するから、俺が戻って来るまで帰らないで」
「別に構わないし、あいつの状態はどうなの?」
「結構水を飲んでいるし、警備の人が必死に人工呼吸をしている…、宝条さんの事を頼むね」
「ああ、さっさといけ」
また走り去る音が聞こえ、どうしよう、頬に大粒の涙が伝って三輪さんのシャツをどんどん濡らす。
「泣け。今はとにかく泣いていい」
「は…い…」
私は救急車が来るまで、三輪さんの腕の中で泣き続けた。