スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁
ゆっくりと目を開けるとベージュの天井が見えて、俺ってシンクロの練習施設にいて、飛び込み台の所にいた筈で、声を出そうとしたら酸素マスクをつけられていて、少しゴホ…っと咳き込む。…。
「やっと起きたかよ」
声のする方に顔を向けると、亮二がパイプ椅子の背もたれを俺の方に向け、背もたれの所に腕を置いて座っている。
「ここは?」
「病院。お前、飛び込み台から落ちたのを覚えてねぇのかよ」
「………そういえば」
記憶を思い出すと、飛び込み台にいる亮二を呼びに行って、亮二を先に行かせたけど、ふと亮二のアングルが気になったので、黒パンツの後ろポケットに入れていたスマホを取り出して、カメラ機能を起動して、少し乗り出したらスマホが落ちそうになり、キャッチしようとしてバランスを崩したんだっけ。
「自分のスマホが落ちそうになって、取ろうとしたら落ちた」
「バカだな」
亮二ははぁと溜め息を吐いて椅子から立ち上がって、すたすたと俺の方に来た。
「起きろ」
「無理。動いたら気持ち悪い」
起きれる気力も体力も無く、動いたら気分が悪くなるのも身体がそう警鐘していて、ふかふかなベットに横たわっているのが精一杯だ。
すると亮二は左手で俺の頭をベシっと叩く。
「痛いんだけど」
「牛丼屋での会話の通り、ひよっこを泣かせたから左手をお見舞いしただけだ」
「………」
そういえば牛丼屋で亮二が言っていたな。
『女を泣かす様な息子だったら、確実に左手をお見舞いしてる』って言って、最初は亮二の勝手な妄想だろと思っていたけど、実際は亮二が言うようにまた真琴を泣かせたんだなと理解した。
泣かせた理由は分かるし、見学をさせてもらった井上監督と選手達に迷惑をかけ、秋山もと思うと、ベットの掛け布団の中で両手をグッと握る。
「高坂さんや秋山は?」
「専務は井上監督の所で、秋山は先に四つ葉に戻って水野がついている」
「そっか…」
「ひよっこの事は聞かないのかよ」
「亮二の言い方で大体は理解したし、俺が落ちた所を見てた?」
「見てねぇ。あんなの見たら一生のトラウマだし、見れねぇ様に俺の腕の中に収めた」
「………そう」
体調がよければ起き上がって亮二を殴れるのに、それが出来なくて、下唇をギリっと噛む。
「安心しろ。俺の服をびしょびしょに濡らしただけだし、救急隊員が来てすぐ腕を解いた」
「それだけ?」
「……………それだけだけど?気になるならさっさと退院して、ひよっこに聞けば?」
少し間が空いて答えるけど、相変わらず言い方がムカつくな。
「退院したら、倍返しで右手をお見舞いする」
「はっ、それくらいしか言い返せねぇのか」
「ムカつくから帰っ…ゴホ……ゲホッ…」
酸素マスクを使いながら話すのが苦しく、思わず咳き込む。
「病人相手に張り合っても面白くねぇし、明日も見舞いに来てやるよ」
「断る」
亮二は荷物を持ってドアに向かうと、ピタッと止まって、顔だけ振り向く。
「…………自分の体、大事にしろよ。1つしかねぇんだから」
「…………ああ。なぁ亮二」
「何だよ」
「宝条さ……真琴に俺が落ちた所を見せないようにしてくれて、ありがとう。腕の中に収めるのは余計だけど」
「うるせぇ、ひよっこを傷つけるお前よりかはマシだろうが」
亮二は病室のドアを開いてバンっと閉じ、病室がしぃんと静まる。
『ひよっこを傷つけるお前よりかはマシだろうが』か…、確かにそうだ。
前も元秘書の橘さんのことや、初めてお出かけした時も体調不良でぶっ倒れて泣かせたもんな。
ドアがノックされてドアが開き、祐一さんが入ってきた。
「具合はどう?」
「起きたら気持ち悪いから、横のままが楽」
「だよね。稔が仁君の家に連絡をしたそうだから、もうすぐここに来るはず」
「分かった。あのさ…、真琴は実家に戻った?」
「俺の車で休んでるよ」
「そっか…」
会いたいけれど、会ったら確実に涙を流す真琴が想像つくので胸が痛い…。
「…………悪いけど少し1人にさせて」
「うん」
祐一さんが病室を出て行くと、俺は瞼を閉じ記憶を遡り、そういえばプールに落ちて意識が戻った時、俺の視界に涙目の真琴が側にいて、その後はうっすらとした記憶だけど真琴が何か言い、顔が近付いてきて…、その部分が思い出せないのが悔しいな。
ゆっくりと目を開けるとベージュの天井が見えて、俺ってシンクロの練習施設にいて、飛び込み台の所にいた筈で、声を出そうとしたら酸素マスクをつけられていて、少しゴホ…っと咳き込む。…。
「やっと起きたかよ」
声のする方に顔を向けると、亮二がパイプ椅子の背もたれを俺の方に向け、背もたれの所に腕を置いて座っている。
「ここは?」
「病院。お前、飛び込み台から落ちたのを覚えてねぇのかよ」
「………そういえば」
記憶を思い出すと、飛び込み台にいる亮二を呼びに行って、亮二を先に行かせたけど、ふと亮二のアングルが気になったので、黒パンツの後ろポケットに入れていたスマホを取り出して、カメラ機能を起動して、少し乗り出したらスマホが落ちそうになり、キャッチしようとしてバランスを崩したんだっけ。
「自分のスマホが落ちそうになって、取ろうとしたら落ちた」
「バカだな」
亮二ははぁと溜め息を吐いて椅子から立ち上がって、すたすたと俺の方に来た。
「起きろ」
「無理。動いたら気持ち悪い」
起きれる気力も体力も無く、動いたら気分が悪くなるのも身体がそう警鐘していて、ふかふかなベットに横たわっているのが精一杯だ。
すると亮二は左手で俺の頭をベシっと叩く。
「痛いんだけど」
「牛丼屋での会話の通り、ひよっこを泣かせたから左手をお見舞いしただけだ」
「………」
そういえば牛丼屋で亮二が言っていたな。
『女を泣かす様な息子だったら、確実に左手をお見舞いしてる』って言って、最初は亮二の勝手な妄想だろと思っていたけど、実際は亮二が言うようにまた真琴を泣かせたんだなと理解した。
泣かせた理由は分かるし、見学をさせてもらった井上監督と選手達に迷惑をかけ、秋山もと思うと、ベットの掛け布団の中で両手をグッと握る。
「高坂さんや秋山は?」
「専務は井上監督の所で、秋山は先に四つ葉に戻って水野がついている」
「そっか…」
「ひよっこの事は聞かないのかよ」
「亮二の言い方で大体は理解したし、俺が落ちた所を見てた?」
「見てねぇ。あんなの見たら一生のトラウマだし、見れねぇ様に俺の腕の中に収めた」
「………そう」
体調がよければ起き上がって亮二を殴れるのに、それが出来なくて、下唇をギリっと噛む。
「安心しろ。俺の服をびしょびしょに濡らしただけだし、救急隊員が来てすぐ腕を解いた」
「それだけ?」
「……………それだけだけど?気になるならさっさと退院して、ひよっこに聞けば?」
少し間が空いて答えるけど、相変わらず言い方がムカつくな。
「退院したら、倍返しで右手をお見舞いする」
「はっ、それくらいしか言い返せねぇのか」
「ムカつくから帰っ…ゴホ……ゲホッ…」
酸素マスクを使いながら話すのが苦しく、思わず咳き込む。
「病人相手に張り合っても面白くねぇし、明日も見舞いに来てやるよ」
「断る」
亮二は荷物を持ってドアに向かうと、ピタッと止まって、顔だけ振り向く。
「…………自分の体、大事にしろよ。1つしかねぇんだから」
「…………ああ。なぁ亮二」
「何だよ」
「宝条さ……真琴に俺が落ちた所を見せないようにしてくれて、ありがとう。腕の中に収めるのは余計だけど」
「うるせぇ、ひよっこを傷つけるお前よりかはマシだろうが」
亮二は病室のドアを開いてバンっと閉じ、病室がしぃんと静まる。
『ひよっこを傷つけるお前よりかはマシだろうが』か…、確かにそうだ。
前も元秘書の橘さんのことや、初めてお出かけした時も体調不良でぶっ倒れて泣かせたもんな。
ドアがノックされてドアが開き、祐一さんが入ってきた。
「具合はどう?」
「起きたら気持ち悪いから、横のままが楽」
「だよね。稔が仁君の家に連絡をしたそうだから、もうすぐここに来るはず」
「分かった。あのさ…、真琴は実家に戻った?」
「俺の車で休んでるよ」
「そっか…」
会いたいけれど、会ったら確実に涙を流す真琴が想像つくので胸が痛い…。
「…………悪いけど少し1人にさせて」
「うん」
祐一さんが病室を出て行くと、俺は瞼を閉じ記憶を遡り、そういえばプールに落ちて意識が戻った時、俺の視界に涙目の真琴が側にいて、その後はうっすらとした記憶だけど真琴が何か言い、顔が近付いてきて…、その部分が思い出せないのが悔しいな。