スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

俺の隣で寝息を立てている真琴を眺め、そっと掛け布団から出て、スマホを持って静かにリビングを出て階段を上がって自分の部屋に入り、机の上にスマホを置いて、一眼カメラを手にして液晶画面を操作し、ベットに座り、自分で撮った写真を眺めながら亮二との日々を振り返る。

あの日、俺の隣に亮二が座らなかったら亮二の“自分の目”で撮る写真に出会えなかった。

そこから少しずつ亮二との交流を経て、決め手となったあの野球の写真で亮二に声をかけ、写真を提供してもらうようになり、スポーツ部のメンバーとも色んなやり取りをするようになる。

特に亮二は秋山に目をかけていたし、その秋山も慕っているのをみて、この2人の“自分の目”の写真をもっと見たいと思った。

真琴が四つ葉に来てからは、亮二との出会いは俺達と異なっていて、いつの間にか2人が出会っていたのは想定外だったし、亮二から真琴へのアプローチも色々あって…、人生で“恋敵”と呼べるのは亮二が初めてだな。

嫉妬や怒り、黒い感情なんて今までしたことがなくて、きっと俺が真琴に想いを寄せなかったら芽生え無かった感情で、恋愛って小説で出てくる場面よりも現実は相手の気持ちが見えないから、少しずつ相手を知っていかないと分からない。

色んな女性に想いを寄せられるけど、心が動かなかったし、動いたのは真琴が初めてで…、亮二がどんな風に真琴を想っていたのか、知る術はないけれど、きっと亮二はへこたれないから今後も俺達の前に立ちはだかるだろうな。

スマホが揺れたので一眼カメラを机の上に置いて、スマホを手に取って画面をタップすると亮二からだった。

『7月号、最後までやる』

返信をしようとキーボードに触れるが、通話ボタンを押した。

『夜中なんだけど』
「直接、話したくなった。写真、楽しみしてる」
『仕事はするし、専務に礼を伝えておいて』
「伝える。取材先でも会える?もしくはバッティングセンターとか、Barでも」
『何でお前とデートしなくちゃいけねぇの?』
「亮二とはここで終わる様な関係になりたくない」

人に対してこう思うのは亮二が2人目で、勿論1人目は真琴だけど。

すると俺の部屋のドアが小さくノックされたので、ベットから立ってドアの側に行き、静かにドアを開けると真琴が立っていたので、空いている手で真琴の頭の上にポンっと置く。

『会いたきゃ口説いて来いよ。簡単に縦には振らねぇけど』
「うん、分かってる」
『7月号が終わったら、最後にひよっこに告白するけどいいか?』
「駄目」

俺は頭に置いた手を離して真琴の右手を優しく握って、ベットに向かう。

「これから真琴といちゃつくから、邪魔しないで」

真琴の顔を覗くと、真琴は何とも言えない表情で俺を見上げる。

『クク…、ハハッ、せいぜいひよっこが遅刻しないようにしろよ』
「言われなくても、間に合うように抱いてる」
『………ひよっこのこと、泣かせて悪かった』
「本当だな」
『写真、撮れたら一番にお前に見せる』
「ああ、お休み」
『おう、またな』

亮二からガチャ切りされ、スマホを机の上に置いて、一眼カメラを手にして真琴と一緒にベットに座る。

「亮二とは今後も会うけど、良い?その時は真琴抜きで会う」
「仁さんの三輪さんに対する気持ちに、私はとやかく言えないです。けど…」
「けど?」
「遅く帰ってきたら寂しいので、せめてテレビ放送のノート書きの時間迄には帰ってきて下さい」

真琴が俺のスウェットの服をギュッと握る仕草に、真琴なりに亮二の事を受け入れようとしてくれるのは嬉しい。

「ちゃんと守るし、連絡をする」
「はい…」
「少しさ…写真を見ながら亮二の話しをしても良い?」
「良いですよ」

俺は一眼カメラの液晶画面を操作して、真琴が四つ葉に来る前の亮二との話しをし始め、俺の隣で真琴はずっと聞いてくれた。
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