スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
翌日、四つ葉の会議室に行くと田所副編集長はいなくて、佐藤さんが伊東先輩と一緒にA班の纏めをしていて、佐藤さんってB班の事もあるのに皆を纏めるのがうまいな。

「田所は明日と明後日も休みだから、サッカー側に関しては水野に任せても大丈夫かな?」
「ええ、大丈夫です。後で田所さんに原稿の進捗を聞いて、訂正や追加が無いかを相談します」

佐藤さんと水野先輩がサッカー側を確認しつつ、今日も仁さんは会議室には来ないで取材の付箋がホワイトボードに貼られているし、忙しそう。

私は星野さんから受け取った読者アンケートの葉書をノートパソコンに入力する事から仕事をし始め、終われば石毛先輩の原稿の清書に取り掛かる。

ラグビーの大会って企業だけじゃなくて、大学もあって、全然スポーツに無縁で過ごしていたので、石毛先輩のラグビーに対する想いがとても響くし、四つ葉に入ってから色んなスポーツに触れられて良いな。

野球、バレーボール、サッカー、ラグビー、バトミントン、水泳、そしてシンクロ…、まだまだ私が知らないスポーツってまだまだある筈で、これからどんなスポーツに出会えるか、それには“休刊”は絶対に避けたい。

先輩達の原稿や写真に触れ、仁さんの傍で書いて“Scoperta”の雑誌に載りたい、そう強く思えるくらい、四つ葉出版社のスポーツ部に入って良かったって言える。

お昼になり、おにぎりを頬張りながら頭の中で午後の仕事の段取りを確認し、シンプルな塩おにぎりと海苔のバランスがいい感じ。

机の上に置いてあるスマホが揺れたので指でタップして画面を表示させると、芹澤からメッセージを受け取ったので読む。

『初めての対談だったけど、四つ葉の人達が盛り上げてくれてスムーズに話せた』
『そうなんだ!噛まなかった?』
『噛まねぇよ。これから羽山先輩とお昼に行くけど、宝条とゆっくり話したかった』
『話せなくてご免ね。芹澤の対談がどんな風に仕上がったか、後でファッション部に行くね』
『おう。色々話したし、今日も取材を頑張ってくるよ』
『頑張ってね!』

芹澤とのメッセージのやり取りを終えたけど、久しぶりに大学時代の雰囲気を思い出した。

芹澤と話すようになったのは2年の時で、葵を通じて話すようになって、そこからは男女混合で遊んだり、飲みに行ったりする。

その時は決まって芹澤が口うるさいけど、私以外の女子にはそんな対応をしないって葵が何故かニヤニヤしながら話していた。

就職活動中はお互い違う業界を志していて、いざ社会人生活になったら会わないで、芹澤の活躍をテレビ越しで見るのは楽しいんだよね。

ただ、仁さんはあまり私が芹澤に関わるのは好まないようで、私も仁さんが四つ葉の女性社員達にものすごく人気なことに悶々とするので、その辺りはおあいこだし。

でも芹澤からの連絡を無視する訳にはいかないし、内容もごく普通なやり取りだし、うーん、好きな人が嫌だって言うのならそうしないといけないのは分かるし、本当に私は芹澤の事は何とも思っていないのにな…、少し信用して欲しい。

私は仁さんが大好きで、これからも四つ葉とシェアハウスで一緒に過ごしたいと想う人だもん。

おにぎりを小さく含み、ゴクッと食べても、味がしなかったお昼時間だった。
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