スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
会議室の時計の時刻は午後7時過ぎになり、製作班と佐藤さんと私だけが会議室にいて、今は佐藤さんと一緒に原稿のやり直しを行うことになり、元々あった佐藤さんのページは田所副編集長に譲ったら6ページになるけど、どうやって文字数の調整をするんだろうか。

佐藤さんは2階の編集部から持ってきた自分の私物の分厚いファイルを持ち出し、中から数十枚の手書きの原稿を私の前に広げた。

「これが譲る前の原稿で、今回は6ページに縮小しないといけないから、この段落のここの部分は3行分を別の表現で2行にするでしょ?こことここは削りたくないから赤丸で囲っておこう。写真は8ページの時は真ん中と最後に写真を入れる予定だったけど、選びなおして3と5ページに入れられるようにバランスの位置を確認かな」
「写真は大きさも変えるんですか?」
「小さすぎるとどんな表情をしているか分からないし、でも大きすぎると文字が読みにくいから、大きさのイメージはハガキサイズよりやや小さめかな」
「かしこまりました。最初は原稿から取り組みますか?」
「そうだね、ここの文章だけどー…」

新しい原稿が佐藤さんのイメージにぴったりに出来るよう、1枚1枚原稿に向き合って入力をしていく。

4枚目に予定されている手書きの原稿の束に手を伸ばし、入力する前に黙読をしていたら、佐藤さんのスマホが鳴った。

「四つ葉出版社の佐藤です、先日はお世話になりました。はいー…、ありがとうございます!明日は午後1時でしたらそちらに伺えますー…、はい、失礼します」

ピッと音がし、佐藤さんはスマホを机の上に置いて自分のバックから手帳を取り出して、パラパラとページを捲り、あるページで手を止めた。

「午後1時だと四つ葉を11時30分に出ればいいから、う〜ん、この原稿は先に終わらせたいし、そうしたら宝条さんはこの4ページ迄の入力をお願い。5と6は俺が仕上げるよ」
「はい」

改めて黙読し、佐藤さんの企画はバレーボールチームのユニフォームにまつわる原稿で、前にもバレーボールチームについての原稿を清書をさてもらったから、バレーボールが好きなのかな?

「佐藤さんはバレーボールがお好きなんですか?」
「うん。中学から大学2年までやっていてさ、怪我が原因で続けるのが難しくて、就職は一般企業は違うなって。就活している時に四つ葉出版社の求人をみてさ、プレーが出来なくても編集になって好きなことを届けたいなって」

佐藤さんは下書きの原稿の束を元に、ノートパソコンのキーボードを打ち始める。

「この企画はずっと温めていて、荒木編集長に掲載するタイミングを相談してようやく陽の目を見せられそうだから、ページが減っても伝える言葉は沢山あるさ」
「私も荒木編集長からきちんと向き合って企画を作るんだよって言われたので、陽の目をみるために頑張って作ります」
「いいね。いっぱい考えて、いっぱい書いてみるといいよ。荒木編集長はその分、受けて応えてくれるよ」
「はい!」

佐藤さんの仕事に対する向き合い方や企画書についての励ましをもらい、よーし、佐藤さんの原稿を真っ先に仕上げて、自分の企画書を作ってみよう!
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