スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
もう少しで佐藤さんの4ページ目とされる原稿の清書が終わりそうで、佐藤さんが赤ペンでチェックをした所も見逃さずに一文字一文字入力をしていく。

「“優勝をした翌シーズンからは右腕に星の刺繍を入れるようになりー…”っと」

5枚、4枚と入力し、最後の手書きの原稿を手にして入力を進め保存ボタンと印刷ボタンを押し、プリンターから続々と用紙が出てきて、プリンターの所へいき、ページの順番を確認し、佐藤さんの側に行く。

「出来ました!」
「ありがとう。俺ももう少しで終われるし、中畑さん、宝条さんを上がらせても大丈夫ですか?」
「大丈夫です。今日も気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます。お先に失礼します」

用紙を佐藤さんに預け、中畑さん達に挨拶をして荷物を纏め会議室を出て、階段を降りていると欠伸が出てきて、電車で寝ないように気をつけて乗らなきゃ。

四つ葉出版社を出て藍山駅に向かい、改札口を通りホームで電車を来るのを待つ。

「最寄り駅に着くのは9時過ぎか…」

四つ葉出版社に入社をして会社とシェアハウスの往復ばかりで、プライベートな時間ってないなと小さな溜め息をついて、ホームに入線してきた電車に乗るけど、野球のユニフォームを着た人たちが多く、何処かで試合があったのかな?

押しつぶされないように銀のポールに掴まり、目的地の駅まで我慢する。

「今日の試合も勝って良かったな」
「お前、ずっと声が大きかったぞ」
「声出さなきゃ選手もやる気出ないじゃん」

ユニフォームを着た人たちが今日の試合のことで盛り上がっている。

「俺さ、春に発売される野球名鑑も好きだけど、球宴の時期に出されるのも好きなんだよね」
「出版社によって脚色が違うからいいよな」
「それを元にどの選手が選ばれて、実際の球宴後の記事も読むのも好きなんだ」
「お前ん家の本棚、凄いもんな。親父さんも野球の仕事をしてるんだろ」
「そうだよ。でも仕事の話は家ではしないし、家にいないのが多いから寂しさはあるよ」

私の背後から聞こえる会話にずっと聞き耳をたて、読者がどんな記事を望んでいるのかなんて直接の声を聞いたことがなかったから振り向かずにいる。

「明日も応援を頑張ろうぜ」
「ああ、明日はホームランを期待だな」
「俺は遊撃手のプレーが楽しみだ」

ある駅に電車が到着し、その人たちは降りていき、私はその人たちを見つめ、その人たちが“Scoperta”の雑誌を読んで貰えるように企画を考えたいな。
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