スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇仲直りのキスはリビングでside荒木仁
一美からの電話をガチャ切りされてからどれくらいの時間が経ったのか、腕時計を見たら午後11時16分を過ぎていた。

一美との通話を終えた後、やはり俺が悪いと反省して真琴に電話をかけるも『電源が入っていないためー…』とアナウンスが流れ、数回かけても同じで、メッセージならと思って『今、どこにいる?』と送っても既読にならない。

信じたくても一度疑ってしまい、亮二の時とは違ってこんなにも嫉妬して感情が乱れる事は今まで無かった。

シェアハウスの外から車が停まる音が聞こえ、俺はリビングを出ると、玄関のドアを何度も強くノックする音がしたので俺は玄関を開けると、そこには一美がいて、ものすごく俺を睨んでいる。

「入るわよ」

一美が玄関の中に入ったのでドアを閉じると、一美はリビングの中に入り、俺の方に振り返った。

「あんたさぁ、将来私の可愛い妹になる宝条さんに何んて事をしてくれてんの?」
「………ご免」
「私に謝るんじゃない!違うでしょ!!」
「…………」

リビングに一美の声が響き、真琴に傷つけてしまったことは正しいから何も言えなくて、一美が左手を大きく振り上げたので、俺は瞼を閉じて口元もギュッと噛み覚悟を決めると、何も痛くは感じず、そっと瞼を開けた。

「ぶたないの?」
「私の美しい手を痛めるのは嫌だし、ぶったって宝条さんの気持ちが晴れることもないわ」

一美は左手をそっと降ろす。

「一度気持ちが離れると戻る迄に時間がかかるわよ」
「………覚悟してる」
「また宝条さんを泣かせたら、次は確実に左手をお見舞いするわ」
「ああ。真琴は何処にいる?」
「駅前のファストフードよ」
「直ぐに行く」

俺はスマホと鍵と財布を黒パンツのポケットにしまい、一美と一緒にシェアハウスを出て、一美は自家用車の運転席に乗り込み、エンジンをかけて運転席の窓が下がる。

「一美」
「何よ?」
「真琴に寄り添ってくれてありがと」
「可愛い妹の為ならお姉ちゃんは何処からでも駆けつけるけど、女の子を泣かせる弟は嫌いよ」
「もう泣かせないって約束は難しい」

きっとこれからも泣かせる出来事はあるかもしれないから、こういう約束は難しいと思うけどー…。

「それでも真琴とこのシェアハウスで過ごしたいから、今から行ってくる」
「ええ。いってらっしゃい」

一美は最初は俺を睨んでいたり怒った表情でいたけど、最後はニコッと微笑んで、車の窓を上げて暗闇の中を走り去った。

俺は駅前のファストフードに向かう中で、もう一度真琴に電話をかけると、5コール目で繋がる。

『はい…』
「今、ファストフードに向かっているから、そこで待っていて」
『……い』

真琴は小さい声で返事をし、俺から電話を切って歩く速度を早め、やがてファストフードが見えてきたので、一旦扉の前でピタッと止まり、呼吸を整えてから扉を開けた。
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