スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇兄弟喧嘩?!
仁さんと田所副編集長が部数会議に向かってから30分程時間が経過し、私は水野先輩が書いた企画の原稿の清書に取り掛かると、会議室のドアがゆっくり開かれると篠田先輩と山田先輩が入ってきて、篠田先輩はとぼとぼと自分の席に座り、山田先輩もその隣に座る。

「落ち着いた…迄はいかないですけど、先ほどは自分勝手に思いをぶつけてすいませんでした」

篠田先輩は私達に頭を深く下げ、ゆっくりと上げた。

「不安があれば溜め込まずに話そうよ。俺達、仲間だろ」
「はい…」

佐藤さんが優しい表情で篠田先輩を励まし、篠田先輩も少し笑みを浮かべる。

「ほら、篠田に頼みたい仕事もあるからやろうよ」

中畑さんがニコッと微笑むと会議室のドアがノックされ、ドアが開いて入って来たのは秘書の橘さんで、本人は神妙な表情でいる。

「急にご免ね。少しここでー…」

ーバン!ー

ドアが開いたままなので廊下から大きな音が聞こえ、皆で体がビクッとさせた。

「良いから、こっちに来い!水瀬もだ!!」

姿は見えないけど姫川編集長の怒声が廊下に響き、ドカドカと足音が聞こえ、開かれ放しのドアから見えたのは、姫川編集長が仁さんの白シャツの胸元を右手で掴んだまま歩き、その後ろを歩く水瀬編集長はいつもはニコッと微笑むのが多いのに、泣きそうに見えていて、私達は一体何が起きているか分からず、ただぽかんとする。

3人の編集長達が見えなくなったら、次に会議室に来たのは高坂専務と号泣している田所副編集長で、高坂専務が田所副編集長の背中に手を添えるけど、一体部数会議で何が起こったの?!

「田所も今はいっぱい泣いておきな」
「は…、はい……」
「あ、あの、高坂専務、一体会議で何があったんですか?姫川編集長は荒木編集長と何処に?!」
「あの経理…のおっさん…、会議…で、グズ…」

佐藤さんが改めて高坂専務に理由を尋ねると、田所副編集長は泣きながら会議室の事を話そうとする。

「おっさんが…俺達しか知らな…い“休刊”の事、会議で話…したん…だ」

嘘…、“休刊”のことってスポーツ部と高坂専務だけが知っている内輪の話で、どうして経理の人が知っているの?!

田所副編集長は服の袖で顔を拭い、深呼吸をして息を整える。

「最初は何時もの様に其々の活動報告をしたり、これからの事を話していたんだ」

そこから田所副編集長は部署毎に7月号の話を順番にしていたら、経理のおっさんが“休刊”の事を仁さんにネチネチ言い始めたとの事。

「荒木編集長がずっと黙って聞いていたら、その態度が気に食わないってまたネチネチ言って、“休刊”になったらお前はどう責任を取るんだ?って。俺は反論しようと思ったら荒木編集長は俺達は充分にやるべき事を全うしているし、数値に届かなかったら俺が責任を取ると言い出して、それを聞いた姫川編集長がおっさんじゃなくて荒木編集長に怒り出したんだ」

そこから姫川編集長は仁さんを連れ出し、私達が廊下で見た様子に繋がるけど、仁さんが責任を取るって、まさか…。

「なぁ篠田」
「はい」
「ノルマ3ヶ月のクリアに不安があるのは分かるよ」
「はい…」
「でもそれでもやるべき事をして、読者に届けようって言った荒木編集長を支えよう。頼む」
「は…い…」

田所副編集長が篠田先輩に向けて頭を下げ、篠田先輩も涙を流して両手で顔を覆う。

仁さんを支えようか…、うん、私が今出来る事で7月号を進めようと思い、両手で自分の頬をペチッと叩いた。

「水野先輩!」
「な、何?」
「先程の企画の清書ですが、この後は追加はありますか?」
「………少し追加したいから、こっちに来て一緒に確認しよう」
「はい!お願いします!」

私は水野先輩の隣に座らせてもらい、追加したい原稿の下書きを見せてもらう。

「高橋はこの後は写真の撮影だっけ?」
「ええ。秋山さんには負けないくらいのアングルで撮ります」
「俺だってこれから撮影に行くし、負けないよ」

佐藤さんと高橋先輩、秋山先輩も仕事をし始め、さっきまでは田所副編集長の涙でしんみりしていた会議室の空気がいつものように仕事モードになってきた。

「篠田も俺と一緒に広告のレイアウトをしよう」
「はい!」

中畑さんが篠田先輩と一緒に広告のレイアウトをし始め、徐々に空気が温かくなる。
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