スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
仁さんが改めてシンクロに向けて取り組むことになって3日が過ぎ、残り4日で青木印刷所に7月号の原稿を揃えないといけない。

清書も企画の部分は順調に終わり、後は先輩達が其々取材をしている記事の部分だけど、ノルマ3ヶ月の最後となるので先輩達の気合いも凄く、内容を訂正したり、写真も山田先輩が悲鳴をあげるくらいの量に増えていき、山田先輩は時折秋山先輩とぶつかり合いながら選定をしている。

午前中は私は中畑さんと一緒に広告の誤字脱字がないか、目次のページから1ページ毎に細かく確認をした。

漢字の間違いは絶対に駄目だから2人で画面とチェック用の用紙を細かく見て、曖昧な漢字は以前教えてもらった筆のマークで自分で書いてみて正しい漢字に変換してチェックする。

「カタカナも小さい字が入っていると間違えそうですね」
「そうなんだよ。“ヤ”と“ャ”とか、“ッ”だったりが間違えやすいから、いつもチェックする度に凝視するね」

2人でノートパソコンの液晶画面をじぃっと見ながらその作業は夕方まで続き、何とか広告の分も大丈夫で、次は石毛先輩の記事の清書に取り掛かる。

石毛先輩の原稿のラクビーも今月は読み応えがあって、少しづつラクビーの事を知れて楽しいな。

まだ入社して3ヶ月位だけど、“休刊”になったら四つ葉に入社した意味がないし、先輩達や仁さんの傍で書き続けたい。

ずっと清書を続けていると会議室の時計が午後8時になり、会議室に残っているのは製作班と秋山先輩と仁さんで、高橋先輩の記事の清書も今日中に終わらせておきたいので、残っても良い時間ギリギリまでやらせてもらおうと決めた。

「荒木編集長、今日中に高橋先輩の清書を終わらせると切りが良いので、最後まで残りたいです」
「良いけど」
「ありがとうございます!」

仁さんの許可をもらったし、よーし、最後まで頑張ろうっと、キーボードを打ち続けた。

高橋先輩の水泳は国際親善試合の特集で、自分が水泳の授業の時なんてクロールや平泳ぎだけしか出来ないけど、試合だとスピード勝負でシンクロとはまた違う魅力が文章で伝わって、海外の選手の名前も英語じゃなくてカタカナ表記だから、ここでも綴りに気をつけなきゃ。

黙々と打ち込み続けていたら机の上にカフェラテの缶が置かれたので見上げると、仁さんが私達に飲み物を配っていた。

「これを飲んだら今日は終わりにしよう」
「ありがとうございます」

会議室の時計を見たら夜9時38分を指していて、結構集中して打ち込んでいたんだと思いながらカフェラテの缶を手に取って、プルを開けて飲む。

「もうすぐ締め切りが間近だな」
「私はずっと本を買う側だったので、作る側になるとあっという間に締め切りになるんですね」
「作るペースを掴むのって難しいよね」
「俺なんてカレンダーを見ても、もうこの日なの?って思いますよ」

中畑さんの言葉に私がそう答えると、篠田先輩と山田先輩も製作班として配属になった時のエピソードを色々話してくれて、共通しているのは皆“Scoperta”の雑誌に携われていることに誇りを持っていて、尚更“休刊”になって欲しくないという思いがある。

残り4日で最高の7月号を作ることを目指し、私も四つ葉にいたいから清書の仕事は最後まで頑張ろうと誓った。
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