スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇初めて一緒に帰った日
翌日、藍山駅から四つ葉出版社に向けてとぼとぼと歩き、信号で立ち止まる度に溜め息をつく。

「全然文字が書けなかった」

荒木さんからの宿題で企画書を明日迄に仕上げなくちゃいけなくて、それでも全然アイディアが浮かばない。

「おはようございます」

後から声をかけられたので振り向くと総務課の星野さんがニコリと微笑み、私の隣に並ぶ。

「毎日スポーツ部の皆さんは遅くまでいらっしゃいますね」
「そうなんですよ。でも私は早く上がらせてもらっているので、たまに申し訳ないなって思います」

信号が青になり、私たちは並んで一緒に四つ葉出版社に向けて歩き出し、そうだ、昨日荒木さんに教えてもらったことを聞いてみようかな。

「実は企画書を作るために創刊号から読みたいのですが、在庫室は何階にありますか?」
「1階にありますが、夕方までに総務課に来てもらえたら一緒に行きますか?私、備品の発注を任されてるので、いつも在庫室に行くんですよ」
「ありがとうございます!」

これで企画書作りの参考になるし、今日の業務を確認してから総務課に行こうっと。さっきまでは重い足取りだったのに、少しだけ軽くなった。

星野さんと1階のロビーで別れ、階段を上がって3階の会議室に入ると、田所副編集長と佐藤さん、中畑さんの3人がホワイトボードの前で6月号の付箋の位置をあーでもないこーでもないとやり取りをしている。

「おはようございます」
「おはよう、昨日は遅くまでありがとう。宝条さんが一緒に原稿を手伝ってくれたおかげで、何とか形になりそうだよ」
「本当ですか?良かったです」

私が挨拶すると佐藤さんが振り返り、昨日一緒に入力した原稿の進捗がわかって嬉しいな。

「佐藤さんの企画の原稿は荒木さんにチェックをしてもらえたので、後はA班の提出だけです。それが終われば5月号の内容はほぼ確定で、青木印刷所に仮印刷の連絡が出来ますね」
「この後A班が来るから、提出前に確認の為に俺が読んで良いかな?」
「良いですよ。荒木編集長は午前から会議室に来るので、田所副編集長から原稿を渡して下さい」
「ありがとう。やっと5月号が決まるな」

続々と先輩達が会議室に入ってきて、私も自分の席に座る。

「中畑さん、相談があるんですが良いですか?」
「どんなこと?」
「実は明日迄に荒木編集長に企画書を提出することになっていて、参考に過去の読者アンケートを読みたいんです。あと、総務課の星野さんの所へ伺うことになっていて、席を外しても大丈夫な時間はございますか?」
「ほぼ5月号の内容は決まってるし、星野さんの所に行くなら午後3時位かな。読者アンケートの声はファイルの場所を教えるから、パソコンの電源を入れようか」
「ありがとうございます」
「企画書作り、頑張ってね」
「はい!」

先ずは読者アンケートから読んでみようっと。
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