スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
社長ははぁっと溜め息を吐くと、次に高坂専務へ顔を向ける。

「お前はここまで聞いて、どうなんだ」

高坂専務は私達の方へ視線を向け、一度頷くと社長へ顔を向けた。

「俺があんたからスポーツ雑誌を作ってみろと言われ、最初は楽勝じゃね?と思ったけど、現実は違った。好きなスポーツを書ける楽しみもあれば記事を書くために自分の時間を削って取材したり、撮影したりでプライベートなんて散々になるし」

高坂専務が自分が四つ葉に入った時の話しをし、そこから編集長になってからはスポーツ部のメンバーとの対立や売り上げに対するプレッシャーも感じながら過ごしていたとのこと。

「でも荒木が、田所と佐藤、高橋や中畑が四つ葉に入ってからは“Scoperta”の売り上げが徐々に上がっていくのが分かってきた。昔、荒木が俺に『“Scoperta”が読めなくなるのは嫌だから』って言ってくれて、荒木なら俺よりも引っ張ってくれるって確信が持てた。実際編集長になってから今までもすげぇ頑張ってくれているし、何よりも可愛い部下に本の作ることをもっとさせたいから“休刊”なんて反対だね」

高坂専務が私に顔を向けてニコッと微笑むと、今度は顔を経理課の方へ向けた。

「で、経理課の連中さぁ。売り上げの結果はどうなんだよ」

高坂専務は低い声で経理課に尋ねるけど、こ、怖い。

「5月号はあと一歩という数字でしたがー…」

取り巻きの人が口を開いて結果を話し始めるけど、どうしよう、遂に結果が出ると思うと緊張してきて心臓がバクバクと鳴り、膝の上に置いてある自分の手をギュッと握りしめた。

「6月号は1週目で58を出して、その後も7月号の発売後にも売り上げが続いて目標数を超えるのは確実です。7月号も1週目で67を出してます…」
「凄い!1週目の売り上げがここまでいくのは初めてですし、低い数で印刷してたら重版のコストがかかって、その間は売り上げロスになるところでしたよ」

経理課の結果を聞いた営業の人達が興奮気味になって喜んでいて、先輩達も物凄い笑顔になっている。

良かった…、仁さんが言っていたように読者に私達の雑誌が届いているんだ。

「なぁおっさん、どう?荒木の読みは正しかったのが証明されただろ」
「たまたま読みが当たっていただけだ」
「うわぁ、この場に姫川がいないけど、おっさんにキレる気持ちが分かる」

高坂専務は相変わらず嫌な言い方をする経理課の部長にうんざりしていて、私だってこの言い方はムカついてくる。

「荒木編集長」
「はい」
「君は編集長になって、この“Scoperta”の雑誌を作ってみてどうだね?」
「俺はー…」

社長の問いに、仁さんは口を開いた。
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