スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
side荒木仁

「君は編集長になって、この“Scoperta”の雑誌を作ってみてどうだね?」
「俺はー…」

高坂社長に問われ、俺は自分の思いを伝えるために口を開いた。

「編集長になってからは、よりメンバーの事や雑誌の事を気にかけながら作るのは今でも苦労はあります。ですが読者に届けるために奮闘するメンバーがいるからこそ、俺も頑張れます」

俺は自分が感じたことを伝えようと、続けて口を開いた。

「他社とうちの違いは例を上げると石毛がラクビーを書いているのですが、石毛はただ試合の事を書いているんじゃなく、選手、それに携わるスタッフへの方に対するリスペクトが込められており、ただの記事ではなくて、読者にラクビーの魅力を存分に読んで好きになって欲しいが言葉に表れています。そしてー…」

俺は石毛の他に水野のサッカー、伊東の野球、佐藤のバレーボール等、1人1人がそのスポーツの魅力を読者に伝えようと日夜奮闘している姿を伝えた。

「田所の自分で掴んだサマーリーグについても、他社は軽く取り上げるだけですが、田所が書いた事によってサマーリーグの魅力が“発見が出来た”という声があります。この“Scoperta”の由来は“発見する”という意味が込められているので、正にそうだと思い、それを作れることは辛さよりも幸せが強いです」

社長の顔を真っ直ぐ見て、自分の思いを伝える。

「その魅力を伝えるために取材班の奮闘はそうですが、製作班の力も素晴らしいです。中畑が来なかったら読みやすく出来なかったですし、山田、篠田も写真の管理や読者の声を俺達に伝えてくれて、それによって“Scoperta”はここまでこれています」

俺はここまで言うと、前髪の隙間から見える真琴に視線を向け、もう一度高坂社長へ視線を戻した。

「そして宝条が四つ葉に…面接でスポーツ部を選んだと知った時は驚きもありましたが、彼女が本を作る編集という仕事に好きになって欲しいという気持ちが湧きました。専務と同じ話に重なりますが、俺や取材班、秋山の“自分の目”で撮るカメラの技術を宝条に惜しみなく伝える事がまだ残っているので“休刊”は絶対に駄目ですし、田所達の言葉と思いを読者に届けるためには“Scoperta”はずっと必要です」

俺はそう伝えると、俺の隣に座る田所から啜り泣きが聞こえ、ふと顔をスポーツ部の方に向けると殆どが泣いていて、部屋の末端に座っている真琴は両手で顔を覆い、何度も鼻を啜っている。

「皆、泣きすぎ」
「いや…泣かないなんて…無いですよ」

田所が服の袖口で目元を拭いながら言い、秋山は鼻水が凄い。

「俺は荒木編集長にもっと引っ張って欲しいですし、カメラの技術を磨いて読者にスポーツの写真の素晴らしさを“発見”して欲しいので“休刊”は嫌です」
「俺も“Scoperta”を読まなかったらサッカーの魅力を伝えたいと思わなかったですし、“休刊”になるのは断固反対です」

秋山と水野が思いを伝え、俺は営業に顔を向けた。

「沢山の書店周りをしてもらい、ありがとう。営業が書店に交渉をしてくれたおかげで部数の結果を出せた」
「俺も学生の頃に“Scoperta”を読んで凄い衝撃を受けたんで、この魅力をもっとアピールさせて下さい!」

営業の社員達が次々とやる気を見せ、俺は経理課に顔を向ける。

「結果はちゃんとみせた」
「ぐっ…」
「最後に…、高坂社長の答えを聞かせて下さい」

経理課のおっさんは表情を歪ませ、悔しそうにしていて、後は高坂社長の最終判断で、その返答を俺は問いた。
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