スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◆【その後】旅行前にご挨拶
大きなショッピングモールの洋服屋さんに入り、ワンピースと言ってもこんなに種類があって、可愛い系?それとも大学を卒業しているし大人系?こうも迷うには理由があって、それは2週間前に遡る。

無事“休刊”が阻止され8月号に向け、2階の編集部で仕事をしていたらドアが開いて上機嫌な高坂専務が入って来て、仁さんの席につかつかと歩いて本人の肩にポンと右手を置いて、私達に顔を向けた。

「スポーツ部達に嬉しいお知らせだよ」
「何かまた無茶振りですか?」

高坂専務が言葉の文末に♪マークが見える様に言うと、田所副編集長は少し身構えた。

「え〜、そう言う風に言われちゃ折角ノルマ3ヶ月のクリアのご褒美を言いたかったのになぁ。高坂、拗ねるよ」
「早く言って。原稿に集中したいんだけど」

ご褒美?!って…、高坂専務は凄く拗ねた様に残念がっていて、ずっと肩に手を置かれている仁さんは高坂専務に冷たい言い方でいる。

「ご免ご免。親父と総務課と経理課に交渉を終えて、ノルマ3ヶ月のご褒美でスポーツ部に有給2日分をもぎ取ったよー。2週間後に其々2日分の有給を消化してね」
「有給?!」
「2日も?!やった!」

高坂専務の言葉に先輩達の表情が驚きと嬉しさが爆発していて、私はこういうケースは初めてで、有給って2日も取れるものなんだと感じた。

高坂専務はそれじゃあと手をひらひらさせて編集部を出て行き、仁さんは少し溜め息を吐くと私達に顔を向ける。

「其々2日分の日程が分かったら、俺にも知らせて。取材班は2週間後に取材や撮影があれば先方に事情を相談し、製作班もレイアウトの作業に支障が出ないようにスケジュールを確認。田所と佐藤は各班と原稿の遅れが出ないように進捗を常にするように。以上」
「はい!」

仁さんの指示に皆で返事をし、仕事を再開した。

お昼になって、仁さんは水瀬編集長と姫川編集長と外で食べに行くとのことで不在で、私達の話題は突然のご褒美として与えられた有給2日分についてになる。

「高坂専務の無茶振りっていつもへとへとになるけど、こういうのだったら嬉しいよな」
「ほんとにそう思う。どうしようかなぁ…、彼女との引っ越しを控えているし、でも旅行って中々行けていないから行ってみたいな」
「良いな。俺も相手を見つけて旅行に行きたいよ」

田所副編集長と佐藤さんが其々有給について盛り上がっている。

「水野はどうすんの?」
「石井選手に食事に誘われているから、その日1日分は有給に充てようかなって。秋山は?」
「俺は三輪さんに会いに大阪に行ってみる」

秋山先輩から三輪さんの名前が出て一瞬ドキッとし、あれから三輪さんとは何も接点が無いけれど、今は大阪にいるんだ。

「へぇ、大阪にいるんだ」
「ああ。『撮りがいがあるスポーツ選手がいっぱいいるから、一度来いよ』って。中々そっちの地域に行ける機会がないし、三輪さんの“自分の目”を間近で見れる絶好のチャンスだからさ」
「それ、良いな。石井選手も三輪さんの撮った写真を大事にしてるって言ってたから、その伝言を伝えてほしい」
「良いよ。お土産は豚まんを送る」
「やった!向こうって美味しい店もいっぱいあるからいいよな」

水野先輩と秋山先輩は其々の有給を過ごそうとしているけど、私はどうしようかな~。

実家のお父さん達に会いに行こうかな?ご飯を奢りたいって話を実行したいしー…、机の上に置いたスマホが揺れたので指でタップすると仁さんからメッセージを受け取ったので、周りに見られないように一度編集部を出て、廊下の隅でメッセージを開いた。

『有給2日分、真琴と遠出したいからシェアハウスに帰ったら相談しよう』

わ…、仁さんからの提案に嬉しい自分がいて、口元がにやけているのが分かるから、廊下に出て良かった。

『ありがとうございます!シェアハウスで待っています!』

文字と一緒に可愛い猫が笑顔でいるスタンプを付けて送信し、るんるんで廊下を歩いていたら階段を上がってくる水瀬編集長と姫川編集長、そして仁さんとバッタリと会った。

「お、お疲れ様です」
「随分ご機嫌が良いみたいだね」
「え、あ~…、その…」

水瀬編集長の指摘に何て答えたら良いやら戸惑う。

「ヘラヘラしてねぇで戻れよ」
「ヘラヘラじゃないです!嬉しいの方ですって!!」

姫川編集長の言い方にムスッとしながら答え、フンっと思いながら先に編集部に戻っていった。
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