スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◇【その後】いざ!旅行へ!!
仁さんが運転する車に乗るのって久しぶりだし、車窓からの眺めが家族旅行の時とは違って感じるのは初めてのお泊まりだからかもしれない。

運転席の仁さんは黒ぶち眼鏡に水色の半袖ポロシャツに黒のパンツ、私は旅行前に買った青のノースリーブのワンピースに白レース生地の羽織りを取り入れ、これは星野さんと九条さんが三姉妹のメッセージグループで恋人同士で色がリンクするコーディネートを提案してくれたおかげで、こっそり仁さんとお揃い気分になれて嬉しい。

明日はお土産屋さんに立ち寄るから、2人にはうんと美味しいお茶菓子を選ぼうっとうきうきする。

「機嫌が良い」
「だって初めての遠出ですし、明日立ち寄るお土産屋さんの事でうきうきしています」
「そっか」

仁さんは運転中だからずっと前を向いていて返事はいつも通りだけど、車内の空気はシェアハウスのリビングで過ごす時と一緒で温かいし、今日は天候も青空が綺麗だし、気温もザ真夏と言えるくらい暑くて、本格的な夏を感じる。

車はどんどん山道を走り続け、時折木陰の涼しさに助けられながら進み、目的地までどれくらいか聞いてみようかな。

「今日は何処まで行くんですか?」
「川沿いに建つ旅館タイプを選んだから、あと20分くらい。温泉街があって、そこなら知っている人もいなそう」
「わぁ、楽しみです!」

家族旅行だとお父さんが海水浴に連れて行ってくれたけど、温泉街がある場所も良いなと嬉しくなる。

ずっと山道が続いていた景色が旅館が何棟も建てられている景色にかわり、仁さんが運転する車の横を1車両しかない電車が走ったりと、今まで見たことのない風景に魅入ってしまった。

「凄く綺麗ですし、ずっと運転をして頂いてありがとうございます!」
「どういたしまして」

いつもの言い方だけど嫌に聞こえないし、旅行という特別な時間に胸がドキドキしている。

「先にチェックインをして、車を置いてから温泉街歩こう」
「はい!」

車が川沿いの道を走り、やがて1軒の旅館の前に静かに停車すると入り口から和服姿の男性が出てきて、仁さんは窓を下げて黒ぶち眼鏡を外す。

「予約をしていた荒木です」
「お待ちしておりました。お車は番台が駐車場までお運びしますので、どうぞこちらへ」
「真琴は荷持を持って降りて」
「分かりました」

私は後部座席に手を伸ばして自分のバックを持って助手席から降り、仁さんも運転席から降りてきてトランクから自分のバックを取り出して鍵は男性に手渡した。

私達は男性の後に続いて旅館の中に入るけど、木の香りがし、とても静かな館内で落ち着くな。

仁さんが受付で手続きをし、部屋の鍵を受け取り、手を繋ぎながら部屋へと向かうけど、心の中ではバックの中に入れている着替えの事が浮かぶ。

それには理由があって、三姉妹のメッセージグループのやり取りで星野さんが『お泊まりの時は下着に気をつけるべきです!!』と力説され、自分の手持ちの着替えを確認し、仁さんの好みは不明だしこう言う質問をしてもどんな反応が返ってくるか分からないから、派手すぎず子供しすぎない柄をお店で選んで新調したのだ。

「どうした?疲れが出た?」
「へ?!あ、いや〜、この後は温泉街の散策が楽しみだなって」

まさか着替えの事を考えていたなんて言えないから、誤魔化しちゃった。

「俺も仕事以外の遠出が久しぶりだから楽しみ」

仁さんが手を繋ぐ力が強くなり、今は遠出をい~っぱい楽しまなきゃ。

「私もです」

握り返すと仁さんはフッと笑い、今日私達が泊まる部屋のドア前に着き、仁さんが部屋の鍵を解錠して開けると、和室特有の香りがし、実家とは違うのは窓からの景色が素晴らしくて、私は窓際に行き、その景色をじっくりと眺める。

川沿いに旅館が建っているから眼下に清流の流れが見えたり、夜になると暗くなって見えないだろうから、明るいうちに見ておかなきゃ。

「綺麗な景色が見えますよ!」
「ほんとだ」

私の隣に仁さんが来て、2人で景色を堪能し始めた。

「突然の有給でしたけど、こうして一緒にこれて嬉しいです」
「今回は高坂さんに感謝だな。少し荷持を整理したら、温泉街を歩こう」
「はい!」

其々の荷持を荷持置き場に置いて、スキンケアセットは洗面台に置いて、後はー…お風呂の後の着替えだと思い、それまでは仁さんに見られないようにバックの奥底に隠した。
< 484 / 488 >

この作品をシェア

pagetop