スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◆束の間のドライブ後side高坂
side:高坂

いや〜久しぶりのドライブで運転が疲れた、疲れた。

しかし久しぶりに“凄く大切な人”が住んでいる場所を車で通り過ぎたけど、今も元気にしているのか。

俺以外に、隣に並んでいる男は居るのだろうか。

車の時計を見るともう19時になる。自宅の駐車場に愛車を停め、家の玄関を開けて入り、リビングのドアを開けると母親が1人でソファに座りながら紅茶を飲んでいて、俺は向かいのソファにドカッと座る。

「静かに座りなさい」
「へいへい」
「貴方ね、“今日”は本当はお見合い相手との食事だったのに、別の日にしたそうね」
「貴重な休みを自分用で使って悪いかよ」
「お見合い相手と過ごすのが大切よ」
「大事な部下たちと過ごすほうがよっぽど良い休日の過ごし方だけどね」

こんな30過ぎたおっさんとランチだディナーだなんて楽しめないだろ、今日の“社会科見学”の方が自分らしくいられたし。

少し溜め息ついてると自分のパンツの後ポケットにしまってるスマホが揺れたので取り出して画面を見ると、ファッション部編集長の水瀬からメッセージが届いてたので開く。

『お土産を渡したいけど、四つ葉かBarのどっちが都合がいい?』

四つ葉だと上下関係で敬語だけど、プライベートな部分では友人関係で接してくれるから水瀬の性格に救われるし、この母親からの話を続けるのは苦だから、ちょうどいいし、仁はまだいつ仕事が終えるか分からないから姫川を誘うか。

『ありがとう。Barが良いから、このあと20時でいいか?仁は都合が悪いみたいだから、姫川を誘う?』
『姫川は四つ葉が言いって。2人で飲もうか』
『オッケー。また後で』

スマホのやり取りを終えてソファから立ち上がると、母親がムスッとした表情で俺を見る。

「夕飯は要らないし、見合い相手も別日で良いって言ってたから」
「きちんとお詫びの連絡をしなさい!」
「分かってるから、ほっとけよ!」

お互い意地な言い方で言い合い、俺はリビングを出て玄関に行き、靴をはいて外に向かい、スマホでタクシーを呼び出し、到着したタクシーの後部座席に乗り込んでシートベルトを着けた。

行きつけのBarの住所をつげ、ぼんやりと外の景色を眺めながら、可愛い部下とのドライブで話した“社会科見学”のきっかけのやり取りを思い出す。
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