スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
今日はそれぞれ3雑誌の2ヶ月後の進行スケジュールをチェックし、過去との比較や売り上げ予測を考えて営業や経理に提案を考えて書類を作り、俺の近くの机では秘書の橘が総務課の星野さんから受け取った葉書の整理をしているけど、そろそろお昼になるし、休憩に出さないとな。

「葉書が終わったらお昼に出てね」
「はい、かしこまりました」

相変わらず硬い返事だなと思いつつ、橘は葉書をまとめ終えたらバックを持って専務室から出て行き、俺は席を立って橘がまとめた葉書を手に取り、1枚ずつ名義を確認する。

こっちは青木印刷所からで、これはこの間の接待した取引先相手で、これは営業みたいな葉書か…、げっ、あいつ結婚したんかよと大学の同級生で議員になった奴からの葉書を手にし、ああ、また独身仲間が減ったな。

葉書を手にして自分の席に座り、同級生と相手の写真を眺めていると、自分の隣にいた人は今はどうしてんだろ、こんだけ時間が経ってれば他に別な男が隣にいそうだけど、それもなんかムカッとする。

俺なんて毎回見合いだ見合いだで親が介入してくるし、このまま独身貫いて諦めさせようか、大きな溜め息ついてたら専務室に仁が入ってきた。

「野球の試合のチケット、取って」
「何?俺と2人でデート?」
「…………」

この無言、怒ってんな〜、前髪が目にかかって表情が読みにくいけど、長年の付き合いだし分かる。

「冗談、冗談。仁からのお願いって珍しいな」
「宝条さんに野球の試合を見せてあげたい」
「2人で?」
「そう。見たら企画や記事を書く時に役に立つ」

真面目な奴だなと思うけど、ただなぁ、仁って四つ葉の女性社員からは俺の次に人気があるし、バレたら女性社員が一斉に休むだろうし、2人で観に行っても会話が成立すんのか?

「2人で見に行くより、スポーツ部全員で行ったら宝条さんも見やすいかもよ。接待とかで使ってる野球施設の部屋があるから、任せてよ。日取りが決まったら会議室に行くね」
「分かった」

仁が専務室のドアノブに手をかけようとし、あ、そうだ。

「なぁ、仁」
「何?」

仁が俺の方に顔を向ける。

「一美ってさ…、元気にしてる?」
「何で俺に聞くの?」
「どうしてんのかなって」
「知りたいなら稔から聞きに行けば」

仁が専務室のドアを開けて出て行き、バタンと思いっきり閉まる音がし、椅子の背もたれに思いっきり体を沈ませて、クルッと椅子の向きを外へ向け、普段は高坂さんって言うくせに……。

「こういう時に“弟”に戻んなよ」

そう呟き、瞼を閉じると浮かんだのは涙を流す“凄く大切な人”だった。
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