スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
大型連休の最終日、白くて大きい野球施設で選手のインタビューをし終わると、高坂さんが予約した部屋に行き、スポーツ部の皆は揃ってベランダ外の椅子に座っていて、俺は宝条さんの右隣の空席に座り、観戦を楽しむ。

やっぱ実際に見ると迫力もあり、丁度選手の表情が見えるし、初めて野球施設で観戦をする宝条さんに自分の持てる知識を惜しみなく選手のことや相手チームのことを話した。

高坂さんがみんなの分の飲み物を頼んで貰い、それが到着すると乾杯をして、田所達も普段仕事中に飲めないからアルコールを堪能していて、こういう雰囲気もいいなと烏龍を飲む。

打席にインタビューをした選手が立ち、あのバットが鷲尾さんがメンテナンスをしたバットだよな、一振りすれば体の軸がぶれてないから今度亮二に頼んで打つ瞬間をお願いしてみようかな。

ふと視線を感じたので顔を宝条さんに向けるとじぃっと俺を見ていて、どうしたのだろう?座り続けて疲れたのかな?

「疲れた?」
「いえ…。この苺も美味しいですよ」

差し出された苺をどう食べればと思い、幸い周りは試合に夢中でこの様子には気づいてないし、俺は宝条さんの手を掴んで自分の顔を近づけて苺を口に含んで離し、口を何回か動かしてごくりと食べてたら、確かに美味い。

宝条さんは顔が苺のように赤くなり、飼っている熱帯魚のように口をパクパクさせていて面白いな、自分の顔を前に向けて試合を見続けたら小声で抗議する宝条さんに更に面白くてフッと笑っていたら、小さく腕を叩かれた。

田所達が球場内の散策に行くので、戻るまではインタビューの下書きをしようと大部屋に戻り、1人でソファに座ってテーブル上に原稿とメモを広げ、メモを読み返して、鷲尾さんの話と選手の話を原稿に書いてたら高坂さんが俺の対面のソファに座る。

「どう?俺が考えた“社会科見学”」
「悪くはない」
「あ~車じゃなかったらワインを1本空けたかったな」
「水瀬に怒られるよ」
「まっ、帰ってからゆっくり飲むよ」

お互い烏龍を飲みながら原稿を書いたり、高坂さんの野球の話を聞いていたら皆がグッズショップのお土産を片手に大部屋に戻ってきた。

田所達がこの後の帰りについて相談している話が聞こえ、俺は選手に取材の挨拶もしたいし、この原稿も少し進めたいけど、宝条さんは1人で帰るのか…、ふと水瀬の説教ぽい言葉を思い出し、今は明るいし平気だろうけど、一緒に帰るか、でも周りがいるしなと、原稿にペンを走らせながら考える。
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