スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
◆“口の悪い男性”と、お出かけのお誘い
5月号が間もなく発売となる時期、今日は製作の写真を主に管理している山田先輩から6月号に使う写真の取り扱い方を学ぶ。

荒木さんはいつものようにいなくて、段々“ツチノコ扱い”という理由がわかってきたかも。

「AとB班達が随時パソコンから送ってくれるデータをノートパソコンのこの共有フォルダのここに保存して、6月号なら『西暦/6月』の名前のフォルダに保存だよ」

共有フォルダには沢山の保存フォルダがあり、6月号のフォルダを選ぶと、既に数百個の写真のファイルがある。

「さっき受信したのは田所さん達のサッカー側かな」

山田先輩がファイルをクリックすると、サッカー選手がボールをゴールに向けて蹴る瞬間や、ボールを取り合う構図でピンボケはしていなくて、選手の気迫ある表情まで捉えていてはっきりと写っている。

「こんなにも表情がはっきりと写るんですね」
「常に動いてるのに逃さず、はっきりと写真を撮れるのって凄いよね。データが届くたびに、今日はどんなだろうかわくわくするよ」

山田先輩が次々と写真を見せてくれて、私も見るのが楽しいな。

「私も自分のカメラを買うなら大きいのが良いですかね」
「自分の手の大きさと、カメラを構える時に腕とか肩の位置、立って撮るかしゃがんで撮るかの姿勢によるから、お店に行って何度も手に取ってみるのも良いよ。いきなり一眼よりも小さなデジカメなら初心者用でいいかも」

山田先輩のアドバイスが凄くためになるし、もうすぐお給料日になるし、カメラ屋で見てみようかな。

「お、三輪さんからメッセージだ」

山田先輩がキーボードを操作して、中身をじぃっとみる。

「中畑さん、三輪さんが6月号の表紙の件を引き受けるとありました。締め切り日と表紙の写真の参考にしたいからAとBの記事のタイトルを知りたいそうで、俺が返信します」
「ありがとう。三輪さんの表紙、楽しみだなぁ」

中畑さんがとても楽しそうにしているから、過去にどんな写真を撮ってるのかな?

「三輪さんの写真を見てもいいですか?」
「良いよ。確か5月がこれでしょ?これは1月のバレーボールの時で、あ、この季刊の時はシンクロナイズドスイミングのチームの撮影で、わざわざ飛び込み台の上から写真を撮ってたな」
「季刊って何ですか?」

私が何気なく言ったひと言に、会議室内の皆の手がピタッと止まり顔を見合わすんだけど、変なことを言ったかな。

「高坂専務が突然編集部に入ってきて、『3雑誌合同で1つの本を作るよー』だっけ?」
「言ってた。あの時期ほど直ぐにでも転職が出来る神殿に行きたいって思ったな」
「ずっと編集部の床で寝ていたし、栄養ドリンクを何本消費した?」
「覚えてない。ただ飲まなきゃヤバいって飲んでた」
「俺は水中撮影でずっとずぶ濡れだったな」
「俺なんてシンクロナイズドスイミングの撮影終わりに、三輪さんが荒木編集長に『季刊が出来たら、お前んとこの専務を飛び込み台から落とすと決めた』ってキレながら言ってたのを聞いた事ある」
「私は三輪さんが言いたくなるの、凄く分かる」

私以外の先輩達はうんうんと頷いてるし、季刊って相当大変だったんだ。

「宝条さんも三輪さんに会う時は言い方のキツさにめげないでね」
「わ、分かりました」
「それじゃあ、続きで原稿に差し込む時のー…」

三輪さんってまだ会ったことがないけど、一体どんな人なんだろ。
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