スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
※お出かけのお誘いside荒木仁
side荒木仁
宝条さんがリビングを出ていった後、引き続き鉛筆を手に取ってノートにサマーリーグの事を書いていく。
田所が自分で掴んだ新しいリーグだから、本人が“Scoperta”の雑誌を選んでもらえるよう気合が入っていたし、俺も田所の成長がこれからも続いていけるように休刊なんてさせたくない。
テレビの放送が終わり、リモコンで電源を落として、鷲尾さんとの次の取材について考え、バットの話は凄く楽しくてもっと聞きたかったし、6月号が終わっても野球のシーズンが終わるまで取材をさせてもらおうかな。
ノートをパタンと閉じて鉛筆と赤ペンをペンケースにしまい、ローテーブルの上に置いた一眼カメラを手にし、電源を入れてボタンを押して撮影した写真を見返しながら宝条さんがカメラ売り場で出会ったという“口の悪い男”が気になる。
『デジカメを見ていてぶつかった私が悪いんですが、チビだのひよっこだなって言うんです』
宝条さんはムスッとした表情でその男のことを言うけど、俺が知らない場所で知らない男と2人きりって、前に佐藤が言っていた芹澤という奴と同じシチュエーションで、そういえば高坂さんに送ってもらった時も2人きりだったな…、少しモヤッとする。
『自分のカメラ、みつけてみたいです』
宝条さんが編集者として役に立つカメラをみつけて欲しいし、どんな物を選ぶか傍で見てみたいと思った自分がいて、カーペットを買う事を口実にカメラの下見も兼ねて一緒に出かける事を提案してみたら、本人も下見以外に仕事用の手帳も買いたいとの事で、初めて一緒に出かける事にした。
カーペットを直ぐにリビングに敷いて使いたいし、実家の車を久しぶりに借りればカーペットも車に乗せて運べるし、宝条さんともゆっくり話せるか。そうと決まればバックからスマホを取り出して、一美に電話をかける。
『もしも〜し』
「今度の土曜、車を借りれる?」
『宝条さんとデート?』
この言い方…“誰か”と一緒で溜め息をつく。
「カーペットを買いに行くだけ」
『そうなの?デートかと思ったけど。部屋の内覧会の予定が無いから貸せるわよ』
「分かった。朝9時迄にそっちに行く」
『オッケ〜。あ、そうだ、仁、聞いてよ』
「何?」
『この間、稔が家に来た』
一美の声が少し小さい。
「そう」
『青いファイルで思いっきりぶん殴ったわ』
「は?」
『だ~か~ら~、思いっきりぶん殴ったって言ったの!』
さっきの小声はなんだったんだと思うが、稔が殴られるのは本人が悪いし。
『凄くすっきりした』
「稔は何か言ってた?」
『“離れてごめん”だって。ほんとだよね』
「うん」
『“離れた分を上書きするから、覚悟して”って。ほんと…、そうい…部分、変わっ…ない』
「うん」
電話機の向こうで一美が泣いてるのが分かって、暫く泣き止むまでただずっと電話を切らずにいた。
『稔はずっと誰かといたんじゃないの?』
「稔はずっと一美のことしか考えてない」
『そう?』
「見合いや四つ葉の人に告白されても、稔は何て言って断ったと思う?」
『“悪いねぇ”とか?』
「“凄く大切な人がいるから、ごめんなさい”だって」
『………』
稔のこうした話は、稔が俺と2人きりしか言わない話だけど、これだけは伝えたいって思った。
「俺、稔の隣にいるの一美しか務まらないって思うし、2人には幸せになって欲しい」
『うん…』
「だからもう一度、稔を信じて」
『うん…、仁、ありが…と…』
「もう遅いから、切る。土曜に」
『うん、土曜にね』
スマホの通話を終え、スマホとノートとペンケースをバックに入れ、一眼とデジカメは手に持って2階の部屋に戻った。
荷物を整理して着替えとタオルを持ってお風呂場に行き、手を動かしながらシャンプーで髪を洗い、一美との会話を思い出す。
『宝条さんとデート?』
『デートかと思ったけど』
一緒に出かけるだけだー…、そうか、2人で行くんだよなと思って、自分で誘っておきながら第三者からみたらそうなるのかと、手の動きが止まり、熱いシャワーが泡をどんどん流していき、顔も熱いが、これはシャワーの熱さではないのが分かる。
そっか、俺って宝条さんと2人で何処かに行きたかったのか…、だから芹澤や高坂さん、“口の悪い男”のシチュエーションに嫉妬したんだ。
改めてシャワーで洗いなおしてお風呂を出て、タオルで身体を拭いて着替えて部屋に戻り、クローゼットの扉を開ける。
「服、あるか?」
こういう時、水瀬なら一発で服装を決めそうだけど。運転するし、かっちりとしたジャケットはやめておこう。
服を選びながら、土曜を楽しみにしている自分がいた。
宝条さんがリビングを出ていった後、引き続き鉛筆を手に取ってノートにサマーリーグの事を書いていく。
田所が自分で掴んだ新しいリーグだから、本人が“Scoperta”の雑誌を選んでもらえるよう気合が入っていたし、俺も田所の成長がこれからも続いていけるように休刊なんてさせたくない。
テレビの放送が終わり、リモコンで電源を落として、鷲尾さんとの次の取材について考え、バットの話は凄く楽しくてもっと聞きたかったし、6月号が終わっても野球のシーズンが終わるまで取材をさせてもらおうかな。
ノートをパタンと閉じて鉛筆と赤ペンをペンケースにしまい、ローテーブルの上に置いた一眼カメラを手にし、電源を入れてボタンを押して撮影した写真を見返しながら宝条さんがカメラ売り場で出会ったという“口の悪い男”が気になる。
『デジカメを見ていてぶつかった私が悪いんですが、チビだのひよっこだなって言うんです』
宝条さんはムスッとした表情でその男のことを言うけど、俺が知らない場所で知らない男と2人きりって、前に佐藤が言っていた芹澤という奴と同じシチュエーションで、そういえば高坂さんに送ってもらった時も2人きりだったな…、少しモヤッとする。
『自分のカメラ、みつけてみたいです』
宝条さんが編集者として役に立つカメラをみつけて欲しいし、どんな物を選ぶか傍で見てみたいと思った自分がいて、カーペットを買う事を口実にカメラの下見も兼ねて一緒に出かける事を提案してみたら、本人も下見以外に仕事用の手帳も買いたいとの事で、初めて一緒に出かける事にした。
カーペットを直ぐにリビングに敷いて使いたいし、実家の車を久しぶりに借りればカーペットも車に乗せて運べるし、宝条さんともゆっくり話せるか。そうと決まればバックからスマホを取り出して、一美に電話をかける。
『もしも〜し』
「今度の土曜、車を借りれる?」
『宝条さんとデート?』
この言い方…“誰か”と一緒で溜め息をつく。
「カーペットを買いに行くだけ」
『そうなの?デートかと思ったけど。部屋の内覧会の予定が無いから貸せるわよ』
「分かった。朝9時迄にそっちに行く」
『オッケ〜。あ、そうだ、仁、聞いてよ』
「何?」
『この間、稔が家に来た』
一美の声が少し小さい。
「そう」
『青いファイルで思いっきりぶん殴ったわ』
「は?」
『だ~か~ら~、思いっきりぶん殴ったって言ったの!』
さっきの小声はなんだったんだと思うが、稔が殴られるのは本人が悪いし。
『凄くすっきりした』
「稔は何か言ってた?」
『“離れてごめん”だって。ほんとだよね』
「うん」
『“離れた分を上書きするから、覚悟して”って。ほんと…、そうい…部分、変わっ…ない』
「うん」
電話機の向こうで一美が泣いてるのが分かって、暫く泣き止むまでただずっと電話を切らずにいた。
『稔はずっと誰かといたんじゃないの?』
「稔はずっと一美のことしか考えてない」
『そう?』
「見合いや四つ葉の人に告白されても、稔は何て言って断ったと思う?」
『“悪いねぇ”とか?』
「“凄く大切な人がいるから、ごめんなさい”だって」
『………』
稔のこうした話は、稔が俺と2人きりしか言わない話だけど、これだけは伝えたいって思った。
「俺、稔の隣にいるの一美しか務まらないって思うし、2人には幸せになって欲しい」
『うん…』
「だからもう一度、稔を信じて」
『うん…、仁、ありが…と…』
「もう遅いから、切る。土曜に」
『うん、土曜にね』
スマホの通話を終え、スマホとノートとペンケースをバックに入れ、一眼とデジカメは手に持って2階の部屋に戻った。
荷物を整理して着替えとタオルを持ってお風呂場に行き、手を動かしながらシャンプーで髪を洗い、一美との会話を思い出す。
『宝条さんとデート?』
『デートかと思ったけど』
一緒に出かけるだけだー…、そうか、2人で行くんだよなと思って、自分で誘っておきながら第三者からみたらそうなるのかと、手の動きが止まり、熱いシャワーが泡をどんどん流していき、顔も熱いが、これはシャワーの熱さではないのが分かる。
そっか、俺って宝条さんと2人で何処かに行きたかったのか…、だから芹澤や高坂さん、“口の悪い男”のシチュエーションに嫉妬したんだ。
改めてシャワーで洗いなおしてお風呂を出て、タオルで身体を拭いて着替えて部屋に戻り、クローゼットの扉を開ける。
「服、あるか?」
こういう時、水瀬なら一発で服装を決めそうだけど。運転するし、かっちりとしたジャケットはやめておこう。
服を選びながら、土曜を楽しみにしている自分がいた。