スウィート(!?)シェアハウス~2人の秘密の同居生活~
うわっ、このサンドイッチの生地がモッチリしていて、野菜が新鮮でドレッシングが生地に染み込んでて一緒に食べると凄い美味しいし、荒木さんもホットドックを黙々と食べているけど、あ、唇の左に少しだけケチャップが付いてるのに気づいて、クスッと笑った。

「どうしたの?」
「ケチャップ、付いてます」

右手の人差し指で荒木さんの唇に付いてるケチャップを拭ってほらと見せたら、あ、私ってなんでこんなことをしてんだと我に返る。

「えっと、その…」

なんてこの場を乗り切るか、指を引っ込めた後はどうしようか、ぐるぐる考えてたら、荒木さんが私の右手を大きな左手で掴み、顔を近づけて私の人差し指をパクっと口に含んだ。

この前の“社会科見学”の時の苺を食べた時よりも、荒木さんの口の感触が人差し指経由で全身に伝わり、なんて言っていいか口がパクパクになる。

人差し指がちゅうっと吸われると荒木さんは口を静かに離してまた顔を前に戻してホットドックを食べ始め、私は顔が一気に火照り、顔を前に向けて俯きながら食べた。

荒木さんはホットドックの包み紙をくしゃくしゃに纏め、ビニール袋に入れ、烏龍を飲んで唇を離す。

「さっきの狙って拭ったの?」
「ち、違います!」
「“社会科見学”の苺を見せた時は?」
「あれは…、美味しいですよって宣伝したかったんです!」
「ふ~ん」

ふ~んって!そりゃ“社会科見学”の苺はじぃっと見てるのをごまかしたくて、でも苺は美味しかったのは事実だし。

「荒木さんこそ人差し指を口に含んでましたし、炒り玉子の時だって唇を拭ったじゃないですか!」
「炒り玉子の時はティッシュより拭った方が早いと思ったし、さっきもああして見せられたから、そうしたいって…あっ…」
「…〜…」

荒木さんが途中で言い止めたのは、私が両手で顔を覆ったからで。

「ごめん」
「………」

私は顔を覆いながら無言で顔を左右に振った。

「違うんです」
「どう違うの?」
「急に口を含んだので照れますし、“そうしたい”って言うし」

段々耳まで熱くなってきたのが分かると、ポンと私の頭に手が置かれた感触があったので、そっと自分の手を降ろすと、荒木さんの顔も凄く赤い。

「これ、2人だけの秘密」
「は…い…」
「次はカメラと手帳を見に行こう」
「はい…」

荒木さんは手を離すと、エンジンの鍵を差し込んでエンジンをかけたので、お互いシートベルトをつけて車が動き出し、私は顔の熱さを冷ますため、ずっと手で扇ぐけど、頭の片隅には“そうしたいって”という荒木さんの言葉が離れなかった。
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