夫婦ですが何か?Ⅱ




少し心が痛んだのは、彼は絶対に無残になった食事に心を痛めただろうから。


きっと、考えるのは私の視点で。


彼の為に作った食事を私自らに無下にさせたと自分を責めたであろうから。


彼は・・・・そういう人だ。


そんな彼の姿を探してリビングを突き進んで、捉えたのはソファーで横たわり顔を片手で覆って目蓋を下している姿。


一人で飲んでいたのか。


テーブルに置かれたグラスとお酒。


そのテーブルとソファーの間に身を置くとゆっくり膝をついて彼の姿を至近距離から見つめた。



「・・・・・・ダーリン」


「・・・・・・うん、」



なんとなく起きているだろうと気がついての呼びかけだった。


そうしてその予想のままに返事を返した姿が目蓋を開くとゆっくり私の方に首を捻った。


絡んだ視線に思わず力なく笑うと、何が可笑しかったのか疑問に眉根を寄せた彼にそっと額を寄せた。


こんな薄暗くても・・・・そのグリーンアイは綺麗に映るんですね。


そんな事を感じて小さく笑ったのだ。


大丈夫・・・・傍に・・・居る。



「・・・千麻ちゃん・・・俺、」



多分、少し迷っての切り出しだったのだと思う。


意を決したように言葉を発した彼の唇に、その意を摘み取るように自分の指先をそっと添えた。


見事汲み取って押し黙ってくれた彼。



「・・・・すみません。今は・・・深い話を出来るほど・・・安定してないんです」


「・・・・うん、」


「逃げているような思考ですみません。・・・でも・・・私は落ち込んで迷走するとなかなか・・・面倒で・・・」


「・・・・知ってるよ、」



『面倒』だという部分で困ったように軽く笑って空気を和ませようとすれば、フッと同じように軽く笑いながら返事を返してきた彼。


そして触れる。


私の短くなった髪に絡む彼の指先。


首の後ろで遊ばれて、はらりと落とされるたびに首筋をくすぐる感触にソクリと感じた。



「・・・・・これでも・・・前よりは千麻ちゃんの繊細で精密すぎる感情の取り扱いに慣れてきてる」



そう告げて、それを理解させるように私が拒むような話は飲み込んだ彼。


大切な事でも今の私には悪戯に感情の導線を切り刻むことだと学んでいるから。


面倒な女で・・・すみません。


でも・・・でもですね。


私も学んでいるからこそここにいるんです。



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