夫婦ですが何か?Ⅱ
ああ、さすがに怠い。
あんなに眠るのに苦労したというのに、眠ってしまえば起きるのに苦労したほど。
それでも午前の電車で帰郷するという両親を見送る為に体に鞭打って起きたのが数時間前。
今はタクシーで駅に向かって、近所の誰々さん達に配るのだとお土産を買い込む母を父と一緒に座りこんで待っている時間。
手に持ちきれなくなったそれらを一度置きに戻った母はイキイキとしていて、どうやって持って帰る気なのかまだ足りないと姿を消す。
そんな姿を眺めながら間隔短い欠伸を再び零すと、隣で沈黙を保っていた父がようやくその存在を示した。
スッと無言で立ち上がり、特別私に何か言うでもなく去っていく姿をぼんやり見つめて。
父も何か会社用にお土産でも買いに行ったのかと薄ら思って翠姫を見つめた。
羨ましくも私の腕の中でぐっすり眠りこんでいる姿を見つめ、軽く口の端を上げて視線を動かす。
見送りでなければこうして駅まで出向く事もそうないな。と、立ち並ぶ店舗を見つめ有名どころの菓子店の名前をゆっくり映しこんでいれば。
フッと鼻を掠めた香ばしい香り。
それに意識と視線を動かせば目の前に差し出されたコーヒーのカップにそっと指先を伸ばす。
「・・・・ありがとう」
「・・・・もう歳なんだ。一回の寝不足は肌にも大きく作用するぞ、」
「娘に歳とか言っちゃうわけ?でも、正論。うっかり宵越しの酒をしたら眠れなくって・・・」
「眠れないから飲んでたんだろう?」
「まぁね、」
淡々と、興味があるのかないのか。
今程買ってきたらしいコーヒーを口にしながら元いた隣の位置に座り直す父。