夫婦ですが何か?Ⅱ





私と榊の横に立ち、珍しくスーツ姿で腕には上着がかけられている。


見た目には爽やかなスマイル携え腕を組んで私達を傍観していて。


でもすぐにチラリと威嚇したような視線を榊に向けて言葉を弾く。



「女性が男性の強引さに好感持つのは、相手が好きな異性であった場合有効な物ですよ」


「・・・・今更誰かに恋愛指導受けるほど女の扱いに困ってないけど?」


「そうですか?でも明らかに目の前の女性は酷く困った様子に見受けられますが?」



そう言って私に視線を走らせた新崎が安心させる為なのか微笑んできて、それに特別どう返していいのか分からずにいれば不意に頭に彼の持っていた上着を被せられて困惑した。


何のつもりだと上着を引きずり降ろしてから見つめれば、私ではなく榊を見つめたまま弾かれる言葉。



「・・・・貸し・・・返して下さい」


「はっ?」


「その上着、俺の部屋に戻しておいてくれませんか?鍵もポケットに入ってますから」


「・・・・・」


「私は・・・・少しばかり彼に聞きたいことがありまして」



にっこりと微笑んで向けられた顔。


暗にこの場を離れろと言いたいらしい。


それを悟って頷くと、チラリと今まで私を威嚇していた榊に視線を走らせる。


目が合えば無表情で片手をあげてくる姿に、もはやどういう感情が正解なのか。


肝心な答えも聞き損ねたけれど、これで良かったのかもしれないと解放された体をゆっくりと動かして行く。


数歩歩いて後ろの現状が気になり振り返れば、榊と新崎が何やら小声にも近い声音で会話していて。


この距離になると何か話しているのは分かってもその内容までは把握できない。


新崎は榊に何の話があったのだろう?


まさか私の昨夜の事に関してだろうか?


でも、そうだとしたら何故そこまで彼が親身になってくれるというのか。


確かに昨日深く巻き込んでしまったのだから、彼なりに犯人を明確にしたいという正義観念があるのかもしれない。


でも、少なからず彼はもう2度私に助け舟出し危機を救ってくれている。


色々と疑問は残るけれど今は翠姫もいるし深い話は後回しだと、新崎が指示したまま彼の上着を持って自室の前を通り過ぎ。


彼の上着のポケットを漁ると思った金属触ではなく何やら紙の感触に手を引っ込めた。


どうやら反対のポケットだったらしいと再度手を忍ばせれば今度こそ望んだそれを握りしめ。


カチャリと音を響かせ取り出して、造りは同じだけども自室ではない部屋の扉を開錠した。



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