夫婦ですが何か?Ⅱ




「でも・・・・居なくなっちゃたんですよ・・・」


「・・・・」


「・・・・あなたの・・・写真・・・妻に見られました」


「っ・・・」


「勿論・・・謝って、土下座して、徐々に関係修復していたんですよ?・・・・でも・・・、昨日・・・・どうしてもあなたが一人で夜道に向かうのが気になって・・・・追いかけたくなって・・・」



心臓が煩い。


痛い・・・。


やっぱり・・・この人が昨日の犯人だった。


写真も・・・。



「珍しく・・・・、本当にあなたの傍に誰もいなかったから・・・」


「・・・・・」


「最近は・・・・・いつもあなたの隣人のどちらかが傍にいた・・・」



成程・・・・。


ああ、成程・・・。


今更な隣人たちへの解釈。


だから鬱陶しいと感じるほどにその接触が多かったのだと理解して自分に呆れかえる。


でも今は失態に嘆いている場合ではないのだ。


周りが懸念し牽制し守りを置いてくれていたのに自らの判断ミスでこんな現状を招いてしまった。


今はとにかくここから逃げ出すことが最優先。


徐々に恐怖に慣れ始めていたのか冷静に頭が回転し始めた事に小さく安堵。


もうすでに先手は打っている現状。


それを意識してどうこの場を逃げ出そうか思案する。


目の前の男は未だに善か悪かを行き来するような微睡んだ表情でこちらを見ていて。


交渉次第では上手く言いくるめられるのではないかと言葉を探す。



「・・・・まだ・・・やり直せるのでは?」


「・・・・」


「・・・・私が・・・今までの事をなかったと認めれば・・・あなたは・・・まだ・・・この生活に戻れるのでは?」


「・・・・・この・・生活に?」


「・・・・はい、」



私の投げかけに特別逆上するでもなく静かに反応を示した男がまっすぐに見つめる。


それに更に肯定を示すように頷いて言葉を続けた。


「もし・・・今このまま私が帰宅することを可としてくださるなら昨夜の事も公にしません。その後も接点を持たなければ奥様だって許してくださるのでは?
元々、私の階とこの5階。そう接点があるタイミングもありませんし・・・」


「・・・・・・私の事を・・・・見逃してくれるんですか?・・・昨日も・・あんな犯罪めいた事をしたのに?」


「・・・・私の帰宅を・・・許していただけるのなら」



念を押して、あくまでも自分の身の解放を条件に彼の身の保証を約束して。



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