夫婦ですが何か?Ⅱ
倒された体に跨るように私を床に縫い付けて、困ったように眉尻を下げるのに楽し気に口の端を上げる表情に狂気を感じる。
「・・・・でも・・・やっぱり、・・・・あなたが悪いんですよ・・」
「・・・私が・・・何を・・」
「・・・・あなたが・・・誘惑するから。・・・・俺は家族を選びたかったのに・・・・・あなたのせいでボロボロです・・・」
なんて・・・被害妄想で自分勝手な・・・。
私は誘惑なんかした覚えはない。
それによって家庭を壊した記憶もない。
ただ普通に生活して普通に過ごしていたに過ぎないのに。
一方的な言い分に思わず眉根を寄せてしまえばそれがこの男の反感を買ってしまったらしい。
浮かべていた笑みを掻き消すと逆に異常なほどの驚愕を見せて顔を寄せる。
「何で・・・あなたがそんな顔をするんですか?・・・・悪いのはあなたでしょう?」
「・・・・かも・・・しれませんね、」
思わず感情のままに返しそうになった言葉を飲み込んで、冷静に働いた頭で言葉を差し替える。
この人をこれ以上刺激しないように。
肯定を示すような返答でこの場を宥める。
感情的になってはダメ。
そう言い聞かせチラリと現状把握のように視線を動かして戻す。
玄関のカギは一つは開錠済みだ。
残るは下の鍵のみ。
隙を見てこの人を押しのければ逃げること可能かもしれない。
ただ・・・体をしっかり固定するように跨っているこの男の隙をどうつけばいい?
どう考えても体格差も力の差も歴然。
不利でしかない自分の現状に嘆きたくなった瞬間の嫌悪。
ウエストの位置から素肌に滑り込む男の熱に鳥肌が立って、牽制する様に見上げれば苦悶の表情で私を見下ろしてくる。
「そんな顔しないでください・・・、これはあなたが俺にする罪滅ぼしだ・・・」
「罪滅ぼし?」
「誘惑して・・・俺の家庭を壊した、」
言いながら尚も私の肌にその熱の範囲を広げる嫌悪の対象に、さすがに抵抗示して体を攀じる。
だけども根本この男に組み敷かれているのだから必死に抵抗しようが無駄な足掻きにすぎず。
不意に頭を押さえつけられると首筋に噛み付く様に男の唇と息が触れた。
「っ・・やっ・・」
「・・・そもそも・・・・あなたの旦那も気に食わなかったんだ・・・」
嫌悪感に耐えきれず出来る限りの抵抗をしても、耐えず体に触れる手と首筋への接触に心が折れそうになり。
でも次の瞬間に弾かれた悪意に皮肉にもそれを阻まれた。
頭を加減のない力で押さえつけられながら目線だけでも自分を害そうをしている男に向けていく。