夫婦ですが何か?Ⅱ
彼に問われ改めてその感情と向き合い、音にして抱いていた思いを口にすれば。
あれよあれよと止めどなく浮上した感情が溢れて、紅潮を防ぐように押さえた両頬はすでに手遅れな程熱を持っていて。
彼から見た私は尋常じゃないくらいに赤く、もっと言えば滅多にないくらい眉尻を下げた女の子の表情だったのだろう。
ああ、昨日からのその人物の記憶の浮上。
伴って夢でもその姿と対峙して、こうして今好きだったという感情をリアルに身に浮上させてしまって自分が保てない程困惑する。
だって、まずいのだ・・・。
こんな私の現状を一番見られたくない男の前で曝け出しているのだから。
案の定、言わせた癖に面白くなさそうな彼の不満顔。
それを捉えて、何とか自分を平常時に戻さなければと思うのにままならない。
結果・・・現状私に出来得たのは・・・。
「・・・・なんか・・・すみません」
「・・・・・ま・・・言わせたの・・俺だしぃ?色々と物申したいけど必死で堪えますとも」
「・・・・」
「・・・・っ・・・ああ、もうっ!!悔しいけど可愛いなぁ!!なんなの!?超羨ましいんですけど!?その元彼!!」
うっかり無言の内に元彼の記憶を浮上させ、堪えるように口も手を手の甲で覆って視線を落とせば、どうやら複雑にも彼のドツボにハマったらしい私の現状。
本気で悔しさ全開で弾かれた言葉に今はただ・・・、
「・・・すみません、」
「くっそ・・・恭司なんてどうでもよくなったし・・・初体験もどうでもいい!!むしろ千麻ちゃんの初恋対象の座が欲しかった!!」
「・・・・残念ながら、もし同年代で同級生であっても私から好きになる事はなかったかと」
「ハハー、知ってる!顔は好みじゃないし?性格も根本的には千麻ちゃんのタイプじゃなかったもんねぇ?」
「・・・・・・結局物申してますね、」
「・・・・だって・・・・千麻ちゃんが俺以外に可愛いのムカつく・・・」
何なんだその理由。
軽く呆れてしまいそうな理由にようやく自分の頬を赤くしていた熱もゆるゆると引いていく。
現状どうにもできない過去の事に不満に思われてもどうしろと言うのか。
結局何を言っても今は不満なのだろうと、特別怯んだわけでもなく、ただ言葉を閉ざして空気の流れが変わるのを待っていれば。