夫婦ですが何か?Ⅱ
うっかり可愛いなんて思ってしまう様な彼女の姿に複雑だった心情もかなりの軽減で、浮上した愛おしさに口の端も更に上がった。
その表情がどうやら彼女には追い詰められるような物だったらしく、反して眉根を寄せた顔。
「そんなに可笑しいですか?私が感情乱すことが・・・」
「まぁ・・・どっちかと言えばそれ寄り」
「ムカつく・・・」
「俺ってば結構怯んだ千麻ちゃんも好物なんですよ~?ほら、雷にビクビクしてる時とか、」
「・・・・・的外れ・・」
「ん?」
「別に・・・・あなたとの関係に羞恥してたわけじゃないですからね?」
不意に誤魔化すように切り返られた会話の内容。
でもそれはさっきの俺の言葉に対しての返答で、思った通りに否定を返してきた彼女。
だからこそ、ニッと口の端をあげると返答。
「分かってるよ。千麻ちゃんが言いたいのはそういう事じゃないんでしょ?
千麻ちゃんの乙女心を語れば・・・・
元彼の前と今俺の前の自分のキャラのギャップに羞恥を感じてたってとこ?」
「・・・分かってるんじゃないですか・・・」
「分かってるんだけどねぇ・・・、ちょっと念押ししておきたくて」
にっこり微笑んで悪意はないのだと示してみれば、不服そうに俺を見上げる彼女はまだ赤い。
その足元で俺のところに来ようと必死な姿の愛娘を捉えてクスリと笑い、10センチしか開いていなかった扉に手をかけ開いた。
瞬時に足に絡み付いてきた翠姫を抱き上げるとすぐに俺の髪を引っ張って遊ぶ姿に癒されて。
その瞬間に抱いていた葛藤が鎮静。
慌て焦る事じゃない。
確かな夫婦の絆としてもう俺と彼女は色々な物を築き上げていて。
彼女が言う通りに今更他に心変わりしたりしない。
そう感じる・・・・感じた。
翠姫が何よりの・・・俺たちの繋がり。
「拓篤さんって・・・・個性的で楽しい人だったよ」
「・・・・・あれを個性的で片付けますか?」
「そんな彼から『元カノ』の話も結構聞いたんだけど・・・な」
「っ・・・・な・・・何を?」
「うーん・・・色々?」
ああ・・・やばいなぁ。
久々なS浮上。
ちょっと・・・快感だよ千麻ちゃん。
その焦って今にも泣きそうな目や赤い顔・・・・襲いたくなっちゃうじゃない。