夫婦ですが何か?Ⅱ
てっきりまた嫌味合戦の再開かと思った。
艶やかな唇からは私を追い詰める言葉が弾かれるのかと。
でもその唇は音を発さず、代わりに不意を突く様に私の唇にその熱を伝える。
起こしていた体が口づけられた勢いのままベッドに沈んで。
その揺れが治まったくらいにようやく驚愕からの回帰。
舞い戻った冷静さと、官能さを増していく口づけにスッと顔を背けて扇情的な空気を打ち壊して。
また彼の不満が落とされると予想して。
「・・・・・・・ねぇ・・・仲直り・・して?」
「・・っ・・・」
「・・・俺・・・千麻ちゃんと変な蟠り作りたくないよ?」
甘えて許しを請う様な声。
滅多にない、彼からの降伏の言葉に胸がざわめいて仕方ない。
違う。
彼が全て悪いわけでもなくて、・・・・こんな風に許しを請われたり、謝ってほしいわけじゃなくて。
そうされると・・・余計に自分の醜悪さが身に染みて・・・。
返答に戸惑ってその目だけを揺らして、至近距離から切望する綺麗なグリーンアイを見つめて不動になる。
部屋の薄暗さのせいでいつもより深いグリーンアイ。
でも微々たる光で綺麗にグラデーションを広げて。
見ていると切なくなるぐらい綺麗で・・・・独占欲疼く。
私の物だと。
そんな感情を見通すかのようにそっと距離を埋めて首筋に触れてくる彼の唇に一気に発熱。
欲を煽るように這う動きに自然と視界を狭めて目蓋を下したのに。
「・・・っ・・やっ・・・」
なんか・・・、
「・・・・茜・・・やめっーー」
欲以上に浮上する・・・。
『・・・・・・・・茜のグリーンアイに見下ろされるの・・・好きだったなぁ・・・』
あっーーーーー
醜悪な・・・嫉妬。
「っ・・・」
「・・っ・・・・千麻ちゃん?」
頭に響いた彼女の言葉。
その意味する物はこの時間に類似する。
見下ろすとは・・・そういう事だと分かってしまっていて。
別に予測も不必要に彼の口からはっきりと関係性は聞いていたのだ。
そして今更どうにもならない事だと分かっていて、今朝までの私であるなら過去の時間に妬くなんて愚かで時間の無駄だと思っていたのに。
一瞬に全力の拒絶。
彼の体を押し返して驚愕に満ちるグリーンアイに見下ろされた瞬間に・・・決壊・・・。