夫婦ですが何か?Ⅱ
気がつけば目を閉じているのも疲れて薄暗い部屋をぼんやりと無意味に見つめて不動になって。
そんな瞬間に思いだしてしまう彼と彼女の再会の抱擁。
あれは・・・・やりすぎじゃない?
いくら大好きで、・・・恋心じゃないお姉さん的な相手でも。
そんな感情的な抱擁は・・・温もりや笑顔は・・・・妻である私の特権であってほしかった。
なんて・・ね、
馬鹿げた・・・私らしくない乙女思考だ・・・・。
でも・・・本心・・・。
尽きない葛藤にさすがに苦しくなって眉尻を下げて、ばさりと頭まで布団を被ってこもる。
そうして密封してしまえば自分の心音の速い事・・・。
これじゃあ・・・睡魔も浮上出来ないはずだ。
「・・・・・・千麻ちゃん?」
不意に呼ばれた名前にドキリとして、でも身動きせずに息を殺す。
もう眠ってしまっているように。
今はちょっとした言葉のはずみに醜悪な自分を露見しそうで、これ以上無意味な喧嘩を肥大させたくないのだ。
たった数日の再会。
過去の関係を抜きに久しぶりの幼馴染との再会くらい、おおらかに理解して受け流す良妻でいるのが理想なのだ。
もう・・・出だしは失敗しているけれど。
「・・・千麻ちゃん?・・・寝ちゃった?」
「・・・・・」
無言によって肯定。
私はもう寝ているのだと。
動かず、更に言えば自己暗示のように目蓋も下して眠っている自分を装って。
それでも実際は起きている耳に入りこんだ彼の声には、すでにさっきの様な憤りは感じないように感じる。
お湯と一緒に・・・もどかしい感情を流してきたのだろうか?
そんな事を考えていた直後。
ギシリと揺れたベッドに目蓋をあけて、次の瞬間にはパッと僅かに明るくなった視界と肌に触れる外気。
何事かと目を見開いてうっかり視線を動かせば。
はぎとった布団を手に、風呂上りを示す水滴を髪から肌から滴らせた彼の姿。
そう・・・肌から・・・。
一応・・・腰にはタオルは巻いてある。
「やっぱり・・・・狸寝入り、」
「ア・・・・アホですか!?眠っていてもこんな風にいきなり布団剥がされれば安眠から引きずり出されますって!」
「でも、寝てなかったでしょ?」
「寝てませんけど、」
ほら、やっぱり。
そう言いた気に彼の目が細まって見下ろして、それに挑むように睨み上げた。
筈・・・だったのに。