夫婦ですが何か?Ⅱ
流れと勢い。
拓篤の中では、とにかくそんな気はないと否定を優先に働いてしまったのだろう。
だからこそ意識なくその本音をポロリと零して、驚いた私の表情によってそのミスに気がついたのだ。
そうして対峙したこの瞬間。
みるみる耳まで赤くなっていくのに、表情は血の気が引いたように崩れていく姿。
私も・・・どう反応するのが正解?
「っ・・・えっとぉ・・・・・じょ、冗談だ・・よ、」
「その言葉を鵜呑みにこの空気を流してもいいんだけど・・・・、物凄く苦し紛れすぎて突っ込まざるを得なかったわ」
「っ・・す、すみません、」
「何?・・・・私を好きなの?」
「はい・・・女々しくも未練たらたらに、」
「で?この現状にこれ良しと私と親密イチャイチャにでもなりたいとか目論んでる?」
「っ・・そそそ、そんな事は・・ちがっ、よ、横やり的な事は考えてなっ・・・・せ、茜君にも怒られちゃうよ・・・」
「・・・はっ?何で彼?」
「っ・・・・」
しまった。
そんな表情で逃げるように顔事視線が逸らされて、その瞬間に拓篤の後ろに彼の気配が見え隠れして。
目を細め探るように、身を縮めている拓篤を見つめてから、
「・・・・彼に何か脅された?」
「えっ!?脅し!?」
「感のいいあの人が、隠し事出来ない拓篤の秘め事に気がつかないはずないものね。しかも自分にも関わってくるような危険は未然に完膚なきまで潰そうとか思う人だもの・・・・」
「えっと・・・・」
「いいのよ。正直に言って、もしなんだったらいい弁護士紹介するから、あの人の攻めの手段や方法は把握しているんだから。全力で私が守ってあげるし、」
「っ・・『盗らないで』って、」
「・・・・・はぁ、またそんな子供みたいなーー」
「『失ったら・・・何もない』」
「・・・・・」
「『何も出来ない』・・・・そう・・言ってたよ」
「・・・・・」
一体、どんな悪意に満ちた脅しをしたのかと思った。
もし、大道寺の権力をフル使用に拓篤を攻めるなら私がそれを未然に防がなければと。
彼の手の内に脳内で対抗手段を巡らせ始めた程。
それでも瞬時に不必要だと打ち砕かれた。
拓篤が、
おそらく、その時の彼の口調のままに、表情のままに、模写してそれを私に告げてきたから。