夫婦ですが何か?Ⅱ
Side 千麻
少し、楽になった。
見慣れない部屋を横倒しに視界に捉えて。
キッチンで食器を洗っている拓篤をぼんやりと眺める。
なかなか回復しなかった自分の不快感。
堪え切れずにソファーに横になって、一刻も早く引いていくのを促して。
体調の悪い私を気遣って、少し離れて食事を終えた彼がその食器を洗っているという現状。
翠姫は早めの就寝に落ちて、彼のベッドを独占して夢の中で。
子供の気配が皆無のこの時間は過去の瞬間を垣間見る。
「・・・・・懐かしい、」
「ん?何か言った?」
「・・・・・ううん、」
うっかり零した感想を聞き返されたけれど明確にはせず。
だいぶ回復した体をのそりと起こすと、不安げな声を上げてきた拓篤がその身を寄せて。
「起きて大丈夫なの?」
「うん、一時的なのよ。アレルギーの対象もいないしね」
「・・・・」
皮肉な冗談を口にして口の端を上げてみたのに、拓篤的には上手く合わせた笑いができなかったらしく。
複雑な表情で口の端をあげたり下げたり。
見ているこっちが気を遣いたくなるようなそれに小さく息を吐くと失笑。
「巻き込んでごめんね。お詫びにキスでもしましょうか?」
「えっ!?ええっ・うあっ・・えっと・・・ええっ!?」
「・・・・・冗談だったんだけど、そこまで過剰反応されると逆に期待に応えるべきかこっちが戸惑うわ」
「っ・・・ご、ごめん・・・いや、期待したっていうか・・・・ちょっとワクワクしたけど・・・」
「馬鹿、」
馬鹿正直ね。
あまりの慌てぶりと頬を一瞬で染めあげた紅。
それを捉えてこちらも赤面、それでも呆れた表情で目を細めると更に照れくさそうに視線を逸らした拓篤が空笑い。
「だ、大丈夫・・・・襲う勇気はないって言うか・・・」
「勇気があれば襲うつもりだったって事ね」
「ち、違っ・・・いや、襲いたくなるほど千麻は魅力的なんだけどっ、」
「慌ててフォロー入れなくてもいいわよ」
「か、体もそんなだし・・・」
「・・・結果的に何かしら私とアバンチュール的展開期待しているように感じるんだけど?」
「っ・・・違うんだよっ!?今も好きだけどそんな節操無しじゃなくてっーー」
「っ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・あ、」
『あ、』じゃないわよ?
今さらりと大きな爆弾うっかり落としちゃったでしょ拓篤。