夫婦ですが何か?Ⅱ
完敗だと眉尻下げて屈託のない笑みを浮かべる彼に、じゃれる様に首筋から顎に口づけていって。
唇の前までいって寸で止めると、じれったいと言いたげに覗き込んでくる彼に笑う。
「ここで【出直し】って言ったら泣きますか?」
「うーん、きっついけど・・・・、でも、【出直し】ちゃったり出来ますよ」
あら?
正直想定外の返答に、まんまと驚きその目を開けば、してやったりと言いたげに笑った彼が私の頬を甘噛みして。
「【出直し】って言うのは、出直せる距離と関係って事だから。隣にいて、会話して、・・・千麻ちゃんの存在を感じる距離での【出直し】なら、俺はいくらでも出直して千麻ちゃんを口説くよ」
「・・・・・馬鹿ですね。でも、賞賛もします」
「フフッ、まだまだ・・・長い長ーいお付き合いじゃない。夫婦としてのゴールは見えないくらい遠い通過点だもん。いくらでも出直せるし、・・・馬鹿みたいに貪欲に愛し合ったりも出来ちゃうでしょ?」
「時々は・・・こんな風に驚きに満ちた愛情表現で?」
「さすがだね、千麻ちゃん。
このサプライズは結構・・・・ガツンと胸を撃ち抜かれちゃった」
言葉を示して、大げさにもそれに苦しむように胸を押さえた彼にうっかり口の端を上げ。
それを捉えた彼も小さく噴きだしてから確かめるように腹部に指先をそっと這わす。
「優しく・・・・借りるね」
「何の許可ですか・・・」
「だって、ちょっとばかり罪悪感が」
「病院の先生はしても大丈夫だって言ってましたよ。激しくなければ、」
「聞いたの!?なんかもう潔すぎてカッコイイよ!!」
「隣で寝てる旦那が美味しそうで我慢ならないんですけど。と言ったら先生がバカウケして・・」
「絶対そんな事言いだす妊婦さん、千麻ちゃんが初めてだったからだよ!!」
「では、・・・我慢しますか?出産1か月後まで」
「・・・・・すみません。千麻ちゃんの男気に感謝します」
そうでしょうとも。
だって、私達はお互いに貪欲な夫婦ですもの。
言葉ではどうしても愉快な戦争となってしまう私達が唯一素直なのは肌の熱で。
快楽無しにもこうして触れ合いたくて。
触れ合う度に糸の様な物が一つ結びついて。
それが増える毎に夫婦の絆が強固な物になっていっているような。