夫婦ですが何か?Ⅱ
そんな心情を読んでなのかクスリと笑った彼が私の頬に指先を這わせ、
「何?・・・なんか・・嬉しそう・・・」
「ええ、・・・まぁ、ちょっとした微々たる優越です」
「そんなに俺より優位にいたい?」
困ったような笑みと口調。
返された言葉で彼が小さく捉え間違えていると分かり小さく笑うと首筋に噛みついた。
痛くない程度に歯を立てて、舌先でくすぐってから残す。
紅い紅い所有印。
当然刻まれたそれに気がついている彼が愛おしむように私の頭を撫でて、・・・更に優越感。
私だけの特権。
昔はこの人とのこんな時間は羨ましくも欲したりもしなかった。
でも今なら分かる。
馬鹿みたいに取り巻いていた女達の気持ちを。
そして必死になって彼を求める多勢を差し置いて選ばれた事に今更優越。
「優越感半端ないです」
「・・・・ん?俺を見下ろして?」
「見下ろすあなたを手に入れていると。・・・・他のキチガイな女達に対して」
「うわぉ・・・、すっごい口説き文句で欲情しちゃったよ?サクッと2人目作っておく?」
「やっとお酒が解禁になったのにですか?」
「ははっ、断乳おめでとう。心置きなく妊娠も出来るじゃない」
「嫌です」
「嫌って・・・、アル中だなぁ」
そんなに飲みたいの?と冗談交じりの呆れを見せてくる彼に非難はしない。
その代わりに口の端をあげて、
「あなたとまた夜風を感じて日本酒を酌み交わすのを楽しみにしてたんですよ?」
ほら、
私の勝ち。
「本当・・・敵わない。
可愛かったり、妖艶だったり・・・あんまり魅力的にならないで」
「じゃあ・・・またあの眼鏡かけて飾り気なく髪も切りましょうか?」
「嫌、・・・・でも、それで千麻ちゃんが俺だけの物になるんだったら・・・・誰の目にも留まらないならいいのかも」
「・・・クレイジーな、」
「だね・・・酔ってるなぁ・・・俺、」
自分で『参った』と言いながら片手で顔を覆いどこかあらぬ方を見つめる彼は気のせいか不安を感じる。
まさか本気で私が離れるとでも思っているのではないか。