薔薇の夢をあなたに
館を出ると、昨日は気付かなかったけど、多くのエルフたちが往来していた。
朝市がにぎやかに開かれ、里は活気にあふれていた。











自然の中に寄り添うようにたてられた茅葺の屋根があちこちにみられる。















「わぁ…すごい…」
「里は気に入ってもらえたかな?」
私はサーシャと並んで市を歩いていた。














サーシャは顔をすっぽりとベールで覆っていた。
「こうでもしないと、普通には歩けんからな。」…巫女様も大変なのね。
















「そういえば、あの青の魔法使いだが、うわごとでずっとそなたの名前を呼んでいたぞ?」
「えっ、レイが?」
私は驚いて思わず声が大きくなる。

















「だから、そなたは付き添いに呼んだのだ。ところで、そなた達は恋仲ではないのか?」
サーシャは空色の瞳をくりくりさせて尋ねる。













「えっ!!!!ち!!ちがうよ!!」思わず声がうわずる!














「そうなのか?私はてっきり…でも、そなたはあの魔法使いを好いているのだろう?」
「え!?なんで??」

















「あの魔法使いが回復してから、そなたはまるで体が発光しているようだ。とてもキラキラしている。乙女がそうなるのは、大体恋をしている時だからな。」













サーシャはさも当たり前のように言う。その瞳は好奇心に輝いていた。
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