薔薇の夢をあなたに
「恋の相手は、あの魔法使いであろう?」
「…う…うん…」











「どこを好いておるのだ?」
「えっと…優しくて、笑顔が素敵で…頼りになって…えっと…もう…全部?」












私は恥ずかしすぎてしどろもどろに答える
「そうかそうか。そなたは本当に可愛らしいな。」
サーシャは満足そうにうなずく。













「サ…サーシャは好きな人いないの!?」
私は苦し紛れに返す。サーシャは軽く目を見開く。少し考えるようにうつむいた後









「………いるよ。」ぼそっと答えてくれた。












「え!?本当に!?どんな人??」
まさかサーシャと恋の話ができるなんて!私はドキドキとサーシャを見つめる。













「幼馴染…とでも言おうか。今は自警団にいる。」
「そうなんだ!!」
「でも、私が巫女になってからは一度も会っていない…」












ふと瞳に悲しみの色がにじむ。
「えっ!?どうして…」
「周りの者が…身分が違うからと…彼と合わせてくれないのだ…私もきちんと分かっているつもりだ。でも、どうしても会いたくなる時がある…。」










サーシャはうつむいてしまった。














「サーシャ…。」
麗しいエルフの巫女姫…誰もが羨む立場にいるのに、大好きな人に会えもしないだなんて…














「そんなの悲しすぎるよ!!おかしい!!」私はサーシャの肩をぐっとつかんだ。










「ジュリエット!?」サーシャのとがった耳がおどろきでぴくっと揺れる。














「会えないなら、会いに行きなよ!!好きならちゃんとあって気持ち伝えよう!身分なんて関係ない。本人たちの気持ちが全てだと私は思う。


文句を言う人は頑張って説得すればいいのよ!女は度胸なんだから!!」











私はドンと胸を叩いて見せた。
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