薔薇の夢をあなたに
私たちは、長老の謁見の間に通された。
サーシャは長老の隣に控えている。










「失礼。呼ばれたんだけど、僕も同席して構わないかな?」
最後にレイが部屋に入ってきた。優雅な動作で私の隣に腰を下ろす。










いつものゆったりとしたローブに身を包んだレイは、すっかりいつも通りだった。
「もう大丈夫なの…?」私は小声で尋ねる。










レイは前を見たままそっと答えてくれた。「うん。ここの空気がいいのか、回復が普段よりずっと早いんだ。もういつでも戦えるコンディションだ。」








私は、ほっと胸をなでおろした。よかった…






「関係者はそろったな。では、はじめよう。」厳かに長老が口を開いた。
「初めまして。太陽の姫君、ジュリエット殿。私はこの里の長だ。」
「は!はじめまして!長老様!」私はいきなり声をかけられ、驚いて声が上ずる。









「話はデイヴィス殿から大方聞かせてもらっている。我々も魔族の動きが活発になっていることは感づいていた。なにか手を打たねばならんと思っていたところだったのだ。我らエルフの民はそなた達に力を貸そうぞ。」











「あ!ありがとうございます!!」私はしっかり頭を下げた。












「そなたたちのこの一連の事件に関する推測は大体当たっていると言えよう。
今から、私が知る限りのサタンにまつわる、この世界の伝承を話そう。」そういうと、長老は静かに語り始めた。
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