薔薇の夢をあなたに
「まーさか、あんたが攻撃魔法も習得していたなんてね。」
団長の書いた、アレン様宛の手紙を魔方陣の中心に置きながら、ロゼットさんはぽつりと言った。

私は団長への最後の攻撃の前に、簡単な氷の魔法で団長の手首を凍らせたのだった。関節の動きさえ止めれば、私には十分すぎる余裕ができた。

「あーれは、ある意味反則よねー。誰もあんたがあんな土壇場で器用に魔法使うとは思わないもん。」

「でもなんでもありじゃない、私たちの戦い方って。団長も約束守ってくれたし、ぜーんぶ解決。」

もともと、攻撃魔法はからっきしだった私だけど、練習自体はしていた。まぁ成功する確率は五分五分だったのだけど。

頬杖をついて、ロゼットさんの魔法を眺める。机の上の小さな魔方陣に乗った団長の手紙は紫のもやにつつまれたかと思うと、ロゼットさんが手をかざすとなくなっていた。

「これで、出演OKのお返事はお城に届いたわ。舞踏会楽しんできなさいよ!」私は二カッと笑って、親指を突き出した。
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