薔薇の夢をあなたに
3章 碧い瞳
私の体は不自然な形に折れ曲がっていた。
ものすごい圧力が体中にかかる。

あぁ、ここは時空のはざまだ…。薄れゆく意識の中で思った。

どんどん強まっていく圧力に体が悲鳴を上げる。

何も見えない。

何も聞こえない。

もう何時間、何日、何週間と飛んでいるような気がする。このまま死ぬのだと思った。







「それ」は突然だった。
ふっと体が軽くなって、空間に光がさした。
と思った瞬間、私は地面に投げ出された。
しっかりした大地の感触はあまりにも久しぶりの感覚だった。

「…終わった……の?」

目が暗闇に慣れすぎて、光がきつい。うっすらと目を開けると、人影が見えた。

よくは見えないけど、とても美しい人だと思った…あぁ、人がいる…。安堵感と疲労で私は意識を手放した。



温かい。ここはベッドの上だ。
心地よいバラの香りが鼻をくすぐる。
目覚めたくなかった、目覚めてしまうのが怖かった。

思い出してはいけないことがある気がする。
私は何度も眠った。眠り続けた。










お日様の光をまぶたの向こう側に感じる。
ゆっくりと眼をあけてみる。

最初に目にはいったのは、ベッドの天井だ。
王様の使うような豪華なベッドに、私は寝ているらしい。

光の方に目を向けてみる。

開け放った窓から差し込む光は温かく、空はきれいな青だった。

快晴ね、こんな日はお散歩にでも出かけたくなっちゃうわ…

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