薔薇の夢をあなたに
「ねぇ。いいかげん、レイから離れてよ!」
「イヤよ!ワタクシここが気に入りましたの。ジュリエットはワタクシに構わずさっさと怪我を治しなさいなっ。」







「むーーーーー」
「大丈夫だよ、ジュリエット。僕は平気だから。」
レイは苦笑いしながらも、膝の上に座る桃色のミニドラゴンの羽を撫でていた。









地下に眠る【太陽の石】の封印を解き、無事戻ってきた私たち。
守護の契約を結んだ、偉大な赤いドラゴンは
なぜかぬいぐるみのような愛らしい姿になって目の前にいる。









「もう!」
「ジュリエット、そろそろじっとして!いつまでも手当てが進まないでしょ。」
ロゼットにおでこを弾かれる。










「うえーん、私せっかく頑張ったのに…」
「はい!分かったから!今度は左腕出して!」
「…はい。」
私は大人しくロゼットの言われるがままになる。











それをみたドラゴンは嬉しそうにのどを鳴らして、レイに甘える。









「こら!ドラゴン!!私が主でしょ!!こっちにきなさい!」
「嫌よ。レイはいいにおいがするけど、今のジュリエットは焦げ臭いわ。それにワタクシには“ルビー”という名前がありますの。

そちらで呼んで下さらない?」








ルビーは私のことなどお構いなしにレイにスリスリと頬を寄せている。
「もう!ルビーのアホ!」













「まったく、ドラゴンに妬いてるお姫様なんて初めて見たぜ。
その調子なら、傷は大したことなさそうだな。」








「あ!デイヴィス!」
普段着に着替えて戻ってきたデイヴィスはレイの隣に腰かける。












「いやー。それにしても、本当に可愛いドラゴンだな…」
デイヴィスはルビーの頭をなでる。








「よろしくね、デイヴィス。ワタクシはルビーよ。」
「おう!よろしくな、ルビー!」
桃色のドラゴンはごろごろとのどをならした。










「私にはそんな笑顔見せないくせに…痛っ!ロゼット、もうちょっと優しく…」
「ジュリエットが動くからいけないの。もう!いい加減大人しくして!」






「…はーい。」

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