薔薇の夢をあなたに
「はは、ロゼットには頭があがらないな、ジュリエット。ところで、この石なんだが…」







手に入れてきた【太陽の石】は無造作に机に敷かれた布に置かれていた。
ごつごつとしたその石は一見、本当にただの石ころのようだった。









「どうやって管理するのがいいんだろう…。」
「一番安全に管理するなら、僕が預かろう。厳重に魔方陣を張れば…」










「何を言っているの?そんなことしたら、使えないじゃない。」
ルビーがツンとした声で割り込む。










「使う?」
「そうよ、王族の力を最大限に発揮するための魔法具なんだから、ジュリエットが持つべきものよ。」








「私?」
「そうよ。ジュリエット、太陽の石にあなたの魔力をこめてみなさいな。」










私は言われるがままに石を手に取る。
その瞬間石がぴかっと光った。
気が付くと右手の薬指にきれいな赤いリングがはまっていた。










「え…これって…」
「その石はね、主にふさわしい姿をとるの。あなたの父のエドワード王の時は、王冠の姿になっていたわ。




ジュリエットの場合はリングだったようね。」












「わぁ…キレイ…」
私は右手を宙にかざした。
赤いリングは、指にぴったりで上品な輝きを放っていた。













「うん。その状態ならなかなか奪えないだろう。ジュリエットを守る方が俺たちもやりやすいしな。



守る対象が一つに絞られたってわけだ。」
デイヴィスは満足そうに笑う。








「ねぇ、あなたたち。サタンの封印が目的なのよね?」
ルビーがレイに尋ねる。










「あぁ、ジュリエットの命が狙われているみたいなんだ、やられる前にどうにか先手を打ちたい。」











「それなら、次は【月の国】を目指しなさいな。あの国は歴史の研究が進んでいる。きっと何かヒントがあるはずよ。」
「ルビー、君は何か知らないのかい?」











「サタンが封印された時代なんて、ワタクシのおばあ様の、そのまたおばあ様の時代くらいの話よ?さすがに、知らないわよ。」
ルビーはふうっと息(というか煙)を吐き出す。









デイヴィスが立ち上がる。
「決まりだな。総員に知らせて来よう。明日の朝ここを立とう。」








私たちはうなずいた。
< 83 / 146 >

この作品をシェア

pagetop