魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 マスター・クマゴンが言って皿を運んできた。私も手伝おうと立ち上がったけれど、ずっと寝ていたせいか、歩きにくい。自分の脚なのに変な感じ。

「セリは座っていていいのに」

 勇飛くんに言われたけど、首を振る。

「そろそろ慣れないと、図書館まで歩けないもの」

 さすがに魔法図書館までお姫様だっこしてもらうわけにはいかないし。

「無理するなよ」
「うん、ありがとう」

 私は水差しとコップを運び、勇飛くんとマスター・クマゴンとともにテーブルに着いた。

「二人ともお帰り」

 マスター・クマゴンが温かな声で言ってくれた。なんだか目頭が熱くなる。それをごまかすように、私は大きな声で「いただきます!」と言って手を合わせた。


 勇飛くんに呆れられるほどたくさん食べると、体の中からエネルギーが湧き上がってくるような感じがした。片付けを終えた後、ためしに左手に杖を持って、治癒魔法の「ヒーラウーンド」を右腕の傷にかける。すると、傷口から皮膚が再生されて、ディヴィナに剣で裂かれた傷が嘘のようにキレイになった。

 おー、便利。

 勇飛くんも感嘆のため息をついている。

「上達したね」

 褒められて嬉しい。でも、もっともっと魔法を覚えたいな。
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