魔恋奇譚～憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました

　両親の前ではゲームなんか興味ないって顔をしてるけど、実は俺、今すごく気になっているゲームがあるんだ。涼太曰く、気になる人の写真があれば、その顔を元にしたアバターでキャラが作成されるらしい。そんなことをしてるなんて根暗なアブナイ男だって思われるかな？　でも、断言する。男なら誰しも、あの魔法使いのかわいいコスチュームを彼女に着せてみたいと思うはずだ。

　俺は“魔恋奇譚”というゲームアプリにタッチして、キャラ設定の続きを始める。剣士ユウヒとともに旅をする魔法使い。名前は“セリ”とカタカナで入力しよう。決定ボタンにタッチして、顔選択画面でさっき撮ったばかりの彼女の写真を選択する。出来上がったキャラを見て、思わず口元が緩みそうになる。

　かわいい。たまらなくかわいい。

　つばの広いとんがり帽子は彼女のふわっとした髪によく似合う。裾のひらひらしたワンピース。これぞ魔法使いって感じだな。色白だから紫のマントも映えるだろう。

　世里、俺と一緒に冒険をしよう。

　なーんてね。